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zoom RSS (3-5-(2)) 「修正市場比株式投資」の検証

<<   作成日時 : 2009/09/14 11:22   >>

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この節の要旨:日本株:先進外国株:EM株=33% : 40% : 27% (修正市場比例投資)の過去40年間の運用成績シミュレーションの平均リターンは7.3%である。また10年程度の運用ではリーマンショック株価底値時期の半年間のみは元本割れしたがその後回復、一方15年以上の運用はこの危機においても元本割れもしなかった。投資先の合理的分散(例えば修正市場比例投資)、長期運用(10年以上)、経費の安い投信の選択が肝要である。纏まったお金の10年以上の長期株式投資において、ドル・コスト法による投資時期分散が必ずしもベストではなく、一括投資の方がやや良好な結果をもたらすのは運用期間の長期化の効果らしい。なお、運用期間の長期化に伴い、最良と最悪の運用成績が統計学の酔歩の理論の予測よりも速く平均値に近づく。
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 次に、「修正市場比株式投資」に従って投資し(投資金額比は2009年9月の現時点での“最適比”である JPN : KKSI : EM = 33 : 40 : 27 に固定されている;なお、JPN=MSCI Japan, KKSI=MSCI Kokusai, EM=MSCI Emerging指数追従投信を表す)、その後は購入投資信託を保有放置したと仮定したとき(Buy and Holdと呼ばれる;リバランスすらしない)の運用実績を調べる。1987年以前にはエマージング国の株価データが無いので、この間はMSCI JAPAN指数追従インデックスファンドに33%、MSCI KOKUSAI指数追従インデックスファンドに40+27=67%、の投資を実行したとする。投資実行年月を横軸にし、その後1、2、5、7、10、15年経過したときのBuy and Hold運用実績(複利計算の年利、これを金融の世界ではリターンと呼ぶ、で評価)を縦軸値にしてグラフ化したものが図3-5-2に示されている。「修正市場比株式投資」の実績リターン平均値は7.3%であった。そしてリターン実績は投資時期と投資期間に依存してさまざまな幅で乱高下していることが図3-5-2には示されている。
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    (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 例えば、1987年12月末に投資したとき、2年経過後の運用実績は年利換算で39%(青細線と1987年12月縦線との交点)、5年経過後は約13.5%(緑細線と1987年12月縦線との交点)という具合にこのグラフを読む。運用期間2年のリターン実績(青細線)は投資月に依存して+40%から-35%までの広い範囲に分布しているが、運用期間が5年(緑細線)、7年(柿色太線)と長期間になるにつれて実績リターンの分布幅は狭くなってゆく。

 次に、ある月末から始る3年間に亘って同一金額の「修正市場比株式投資」を月末毎に継続し(ドル・コスト法と呼ばれる投資方法)、その分散投資完了後は保有するだけの運用を7年間続けた(つまり最長投資期間は10年間になる)ときの運用実績を「3年分散7年投資」と呼ぶことにする。このような分散投資を1969年12月以降の各月末から実行したときの運用実績の投資開始時期依存性を図3-5-2の太い黄緑線で示した。この黄緑太線の3年分散7年投資、赤太線の一括投資10年運用、桃色太線の2年分散7年投資の三つの長期投資シミュレーション計算のいずれにおいても、リーマンショック金融危機における株価底値期(2008年10月から2009年6月まで)の間は元本割れ(リターンが負)になっていたが、2009年10月の現時点になるとリターンで2-3%くらいまで回復してきた。一括投資後15年間の保有放置運用の成績は、リーマンショック金融危機最中においても元本割れをしてない。株式投資における長期運用の重要性を示している。

 しばしば「ドル・コスト法」の用語と共に、投資時期の分散が重要であると投資書籍に紹介されている。そこでこの点を検討するために、図3-5-2から長期投資の実績部分のみを取り出し拡大したものを図3-5-2-EXPDとして示した。この拡大図の、赤太線の一括投資10年運用、黄緑太線の3年分散7年運用、桃色太線の2年分散7年運用の三つを較べても、優劣を付け難い。無理に優劣を付けると、むしろ赤太線の一括投資10年運用が他の二つの分散投資よりもやや良い成績となる(Sharpe 比で評価)。退職金などの纏まったお金を現有し、しかもそのお金全額を10年以上寝かせておけるような場合、ドルコスト法を適用した投資時期分散は、結果として平均運用期間の短縮を招き、そのためにリターンが低くなったと考えられる。つまり、纏まったお金の長期株式投資においては、2年3年程度の分散投資よりも、ドーンと短期間に投資し終えて運用期間の長期化を図った方が良い結果をもたらす。ただし、株価バブル期には一括投資は避けたいものである。
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    (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 以上から、株式投資に関して次の結論が得られる:
 1)10年間以上の期間に亘って運用を続けること(長期運用);
 2)具体例としては、ノーロード投信としてネット証券会社(楽天証券、SBI証券、カブドットコム証券など)で販売されている投信を使って、
   STAM TOPIX インデックス・オープンに投資金額の33%の金額
   STAM グローバル株式インデックス・オープンに投資金額の40%の金額
   STAM 新興国株式インデックス・オープンに投資金額の27%の金額 
を投資する(経費の少ない投資を選ぶ);
  3)投資先も合理的に分散されていなければならない、例えば、ここに記載の「修正市場比株式投資」;
  4)退職金などの纏まったお金の株式投資の場合、投資時期の分散を目指して運用期間を失うよりも、一括投資の方が良いリターンをもたらすこともある(必ずしもドル・コスト法が良いわけではなさそう)。

 一方、現役の人は定額の修正市場比株式投資を毎月機械的に続ければ、投資開始後10年以上経過した時点では、図3-5-2の太桃色線程度の運用成績(平均年利で7.0%ないし7.5%程度)を手にできる。ただし投資開始の2年後程度の短期間なら、リターン表示の運用成績が-20%というような悲惨な事態(2年間に亘って年利-20%なら、この2年経過後の元利合計は元本の64%に減少している)にも遭遇するが、しかしこれを特に心配する必要はない、必ず株価は回復するというのが歴史の示すところである。最悪の2年間投資の実績は2007年2月末開始の投資で、2年間の運用実績は年利-34%、つまり元本の44%にまで減少している。しかし、この時の2年間投資も15年後までには元に戻るはずである。
 もっと重要なことは、定額投資を続けていれば、“不運な2年間”をカバーしてしまう好成績の“幸運な4年間”がやって来て、全体としての平均成績が7%を超える年利の複利で資産増加してゆくという歴史の教えだろう。

 次に1969年12月以降の月末投資の1, 2, 5, 7, 10, 15年運用における最良実績と最悪実績の年利を運用期間に対してプロットすると、図3-5-3が得られる。
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     (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 もし株価変動が完全にランダムであるなら、統計学の「酔歩の理論」(Random Walk Theory の和訳、和訳の方が英名よりも遥かに優雅)によると、リターンr、リスクσの株式投資運用をn年間続けると、リターンが
    (図3-5-3の赤と黒の細線)の範囲内になる確率は99.7%、
   (柿色と青の細線)の範囲内になる確率は95%
である。ここにσ’ は酔歩の理論に基づいてAppendix A-7項で導入されたn年間運用時の換算リスクで、
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と定義されたものである。任意のある時に開始した長期運用成績(年利表示の実績)は、運用年数の平方根にほぼ反比例して平均値(7.5%)に近づいてゆく筈である。
 ところが、最良および最悪リターン実績のプロット(図3-5-3の赤と黒の太線と丸点)は、r ± xσ'  の曲線(図3-5-3の4本の細線)よりも少し急な速さで、運用年数経過につれて平均リターンの7.5%(太緑線の四角点プロット)に近づいている。これは多分、好景気も不景気も政府や中央銀行の経済・金融政策により行過ぎないように調整される結果であろうと推測される。
 
 投資にとってこれは極めて好都合である。なぜなら、投資における評価額の減額が大きい(つまり大きな評価損)とき、統計学の計算結果よりは速い速度で損失額が小さくなるのだから(勿論株式投資から撤退しなければの話)。その裏返しで、評価益が過剰に大きいときには、株式投資に留まっていると、時間経過と共にその過剰な評価益は統計学の予測よりは速く減少して行く。教訓:評価損が大きいときは株式投資に留まり、評価益が過剰に大きいときは株式投資から(ある程度)撤退せよ。でもこの教訓を実行するのは至難の業だと思う、人は恐怖にも狂喜にも弱いのだから。せめて、恐怖と狂喜に弱いことだけは自覚しておきたい。

 一方において、酔歩の理論より速い速度で株式投資評価額が平均値に近づくと言う事実は、株価の値動きが完全にランダムな正規分布・酔歩理論には従ってないことを示している。つまり、資産運用において統計学に(少なくとも、初歩的な統計学には)全面的に頼ることは出来ないことを示している。(2009/9/14/UP、2009/10/19/改訂)


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