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zoom RSS (5-1) 内外の株式と債券のインデックス・ファンドのリターン、リスク、相関のまとめ

<<   作成日時 : 2009/10/17 15:37   >>

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 3章、4章で世界の株式投資と先進国債券投資のインデックス・ファンドのリスク、リターン、ならびにこれらの金融商品の値動きの相関が分かった。第3章第4章で株式指数や債券指数の相関係数の算出に用いたデータと計算式をそのまま用いて、債券と株式の間の相関も更に計算して付け加えた。それらの値を表5-1-1に纏めて示す。統計パラメータ算出のための基データは同一期間でかつ長期間の収集でなければならない。しかし、債券データは短期間分しか収集出来ない。仕方がないので、この表のそれぞれのパラメータ計算にはそれぞれのパラメータ毎に可能な限りの長期収集データを使った。
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   (表をクリックすると拡大された読み易い表が出てきます)

 日本債券ファンドのリターンは1%と低いが、リスクも小さく、内外の株式ファンド(日本、先進外国、EM国)と負の相関を示す金融商品はこれのみなので、資産運用には日本債券をかなり大きな割合で含めることになる。日本債券と外債(先進国の国債)との相関は意外に小さい。このこともポートフォリオに日本債券を含めるべきことを示している。一般に債券価格と株価は逆の値動きをするものであるが(例えば、日債と日株は-0.2175の相関係数をもつ)、予期に反して外債(先進国の国債)と外株(先進外国の株式)それぞれの円表示にはかなり強い正の相関(相関係数で0.4612)が有る。これは、海外投資において為替リスクが極めて大きいことの反映と考えられる。また、内外の株式の値動きには大きな正の相関が見られる。中でも外株(先進外国の株式)とEM株(発展途上国の株式)の間には極めて強い正の相関がある。これは、これら資産クラスの為替依存が大きいことのみならず、発展途上国の経済が輸出を通して欧米先進国経済に大きく依存していることの反映であろう。日本の経済も中国経済を通して間接的に、或いは自動車輸出などで直接的に米国経済に依存しており、その反映で日本株と外株(外株の1/2ないし1/3くらいが米国株)の正の相関も強い。

 一般に債券は低リスク・例リターンで短期間(5年くらい)投資に向いており、株式は高リスク・高リターンで長期(10年以上)に適しているとされている(例えば、J.シーゲル著、株式投資、日経BP社)。

 表5-1-1の統計パラメータを使えば、資金の運用可能期間に適した資産運用を組み立てることが出来る。しかしながら、誤差の大きなパラメータを含む多変数の連立方程式を解くと、出てくる答の質が落ちる(つまり、答に含まれる誤差も大きい)ことに注意しておくべきである。つまり、算出されたポートフォリオが妥当かどうか充分検討して採択の可否を決定せねばならない。
 もし債券2つ、株式3つ、合計5つの金融商品の組合せ比率全てに自由度を持たせた計算の結果が不適切な場合は、むしろ変数の数を少なくして、すなわち債券や株式の金融商品の構成比を固定した上で、最適なアセットアロケーションを探す。この場合、分類の大枠を (1)国内投資=日債+日株 と 海外投資=外債+外株+EM株 に組む方法と、(2)債券投資=日債+外債 と 株式投資=日株+外株+EM株 に組む方法がある。(2)のようにまず株式投資構成比と債券投資構成比の大枠を決める方法を採用する方が良いと考える。これは、日債が日株、外株、EM株の全てと負の相関を示すので、運用リスク低減の為には日債と外株やEM株との組み合わせの自由度を大きく取る必要があるからである。

 アセットアロケーションの検討に入る前に、日債(Nikko BPI)、外債(Citigroup WGBI)、日株(MSCI Japan)、外株(MSCI Kokusai)、EM株(MSCI Emerging Markets)の円表示Net指数の値動きの全体を見ておく。無料で入手できる全期間(第3章、第4章で説明済)の指数の対数の月次データの経時変化を図5-1-1に示した。また、この図にはそれぞれのグラフへの線形回帰線とその式(横軸値xは1900/1/1以降の経過日数で、Excel 2003のデフォルト値)も一緒に示した。また実質実効為替レートの対数(上が円高)の経時変化も一緒にプロットした。
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   (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 図5-1-1を見ると、外債(先進国国債価格指数)指数と実質実効指数逆数が上下鏡映の関係に近く(前者の方が後者よりもほんの少しだけ右肩上がり(正の傾き)が大きい)、外債指数の変動の大きな部分を為替変動が担っていることがわかる。つまり、外債投資におけるリスクの大きな部分は為替リスクである。そして短期投資においては、外貨商品の為替リスクの相対的重みが大きいので、外貨商品の割合を、どちらかと言えば、小さくしておくのが良い。その意味で、外貨預金、外貨建MMF、為替取引(FX)は避けるべきと考える;これらは基本的に短期投資であり、為替動向判断の基礎となる金融・経済の知識・見識の乏しい一般個人が手を出すと大怪我(裏返しで、予期せぬ大儲けもありうるが)をすると予測される。 

 表5-1-1に掲載されたリターン・リスク・相関係数の値が、アセットアロケーションを全面的に支配する。この表の値が不適切なら(つまり、岩盤ではなくて砂ならば)、如何に緻密にポートフォリオを組み立てても、出来上がったものは将に文字通り“砂上の”楼閣であり、適正な運用成果は期待できない。国民年金と厚生年金(2009年9月現在の基金総計120兆円、日本のGDP500兆円、国家予算80兆円と較べると、基金の巨大さがわかる)を合わせて運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」、あるいは企業年金運用を担う「企業年金連合会(PFA)」などの年金基金の運用を担う組織は、統計学・経済学の専門家を動員して各種金融商品のリターン・リスク・相関係数を評価し、それを元にして年金基金運用のポートフォリオを組み立て、年金の積立金を運用している筈である。これらの組織のホームページを探すと、それぞれの組織が算出採択したリターン・リスク・相関係数の値が公開されている。ただし、これらの値を見つけ出すのは大変難しい;基金運用の基礎となっている本当に大切な数値が簡単には見つけ出せない状況にしてあるところに怪しげな雰囲気が漂っている。これらの組織を全面的に信頼するのならば、そこから得たリターン・リスク・相関係数の値を基礎にしてアセットアロケーションを進めてゆけば良い。一方、多少間違っていてもいいから(騙されるよりは、間違う方がマシである)、素人が自分で計算したリターン・リスク・相関係数を基礎にポートフォリオを組立てようと言うのがこの記事の考えである。

 年金運用組織その他の組織や個人が算出・公表している金融商品指数のリターン・リスク・相関係数の相互比較は項目を改めて取上げたい。
(2009/10/17/UP)(2009/12/26/改訂)

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