(3-3-(1)) MSCI KOKUSAIとJAPAN 株価指数の月利のヒストグラム

要旨: 先進外国の平均株価(MSCI KOKUSAI指数)ならびに日本の平均株価(MSCI Japan指数)の月間値上り率の、過去40年間の月次データの出現頻度分布は、正規分布にほぼ従っている。しかし、株価暴落側で正規分布から大きく外れる(-4σ、800年に1度の確率;-5σ、800万年に1度の確率)データがKOKUSAI指数で2回、Japan指数で2回出現している。
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 株式における資産運用の意思決定は株価変動が正規分布(釣鐘型の分布)に従うと仮定した統計学に基づいて行う。そこでまず1969年末から2009年3月末までの471ヶ月について株価変動の月次データを調べたところ、2ないし3回の例外の月を省くと、残りの468ヶ月の月の値上り率の出現頻度は正規分布にほぼ従っていることが分かる。その詳細を以下に示す。

 MSCI KOKUSAI Net指数とMSCI Japan Net指数(米ドル表示)を1969年年末以降の各月末の時系列データをMSCI-Barra社のホームページから無料入手し、更に為替レート時系列データを 「Infoseek マネー」のホームページから得て(1990年以前の為替データは日銀や米国FRBのホームページから得られる)、2009年3月末までの471ヶ月間の月間値上り率データを調べて、各指数の円表示を求め、月間値上り率を算出する。さらに、STAMシリーズのインデックスファンドの投信経費を差引き、最終的にはSTAMシリーズインデックスファンドに投資したとき個人投資家が実際に手にする月間値上り率を算出した。その平均値と標準偏差を求めると表3-3-(1)-1のようになる。
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両株価指数の月間値上り率の出現頻度分布が正規分布になっているか否かを比較検討する為に、確率変数である月間値上り率(x)を表3-3-(1)-1の平均値と標準偏差を使って変数変換して、標準確率変数(z)に変換した後、

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その出現頻度ヒストグラムを描き、標準正規分布と比較した。図3-3-(1)-1 がそのグラフである。標準確率変数に変換すると、KOKUSAIとJAPAN指数のように互いに異なる平均値(μ)や標準偏差(σ)をもつ指数の値上り率の出現頻度(正確には、規格化出現確率密度)を同一グラフに表示して直接比較できるようになる。

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     (クリックすると拡大図が出てくる)

 図3-3-(1)-1のグラフを見ると、KOKUSAI株価指数(緑の細線、縦方向20倍拡大のグラフは緑太線)もJAPAN株価指数(赤の細線、20倍拡大グラフは赤太線)もその月間値上り率の出現頻度はほぼ正規分布(黒の細線、20倍拡大グラフは黒太線)に従っていることが分かる。それ故、原則として、株価値上り率の正規分布統計に基づく意思決定が合理的であることが、”おおむね”保障される。

 しかし先に述べたように、株価指数値上り率が正規分布から大きくずれた月が、1969年12月から2009年3月までの全観測期間471ヶ月(39年と3ヶ月)中、JAPAN指数で3回、KOKUSAI指数で2回ある。
MSCI JAPN指数の月間値上り率の異常値出現の履歴は次のとおりである:
   +4σの月間値上り(+20%)  1986年3月 プラザ合意(ドル安円高合意)半年後、米土地バブル崩壊
   -4σの月間値下がり(-20%) 1990年9月 日本の資産バブル崩壊
   -4σの月間値下がり(-20%) 2008年10月 リーマンショック(サブプライムローン危機)

MSCI KOKUSAI指数月間値上り率の異常値出現の履歴は次のとおり:
   約-5σの月間値下がり(-25%) 1987年10月 ブラックマンデー
   約-5σの月間値下がり(-25%) 2008年10月 リーマンショック(サブプライムローン危機)
正規分布の-5σの月間値下がり率の出現確率は1億分の1、即ち800万年に1回の理論確率くらいに稀。

 ±4σの月間価格変動の出現確率は1万分の1(1万月当り1月)、即ち800年に1度ずつの理論確率くらいに稀。それ位に稀なことが、39年間あまりの短期間中に3回起こっている。従って、株価変動が正規分布に基づく統計予測の通りに必ず進むという保証は無い。しかも、統計学上はありえないほど稀な株価変動が、株価暴落側(図3-3-(1)-1の横軸左側)でよく起こっていて、株価急騰側では余り起こってない。株価暴落が投資家・投資機関の恐怖心からもたらされるためであろう。逆に言えば、株価暴落後はすぐに小規模な株価回復が伴う。なぜなら、投資家・投資機関が冷静に戻れば、「順当な」株価に素早く戻るからである。-3.5σを越える株価暴落は、強力な「速攻買い」信号ということになる。即ち、株価指数(TOPIX, MSCI KOKUSAI, MSCI EM)が1ヶ月間に-20%を越える大暴落を示したら、その3ヵ月後頃に株式投資の比率をドンと大胆に増加させると良い。

 全471ヶ月間について、MSCI KOKUSAIおよびJAPAN両株価指数の月間値動きは、上に列記した1986年3月、1986年10月、1990年9月、及び2008年10月の4回を除けたら、残りの467回は正規分布に従っていて何ら異常ではなく、統計的に予測可能な範囲の値動きを示していることになる。つまり、2008年夏以降のリーマンショックの世界同時不況は、“100年に一度”の枕詞を付けて語られているが、2008年10月の株価値下がりのみが異常(“ナイトの不確実性”というのはこういうことを指している?)で、残余の値動きは正規分布の統計学に従った範囲内の株価変動である。

 -4σ、-5σといった株価暴落(正規分布からは予測できないほどの暴落)が近年39年間に2、3回起こっている。図3-3-(1)-1をよく見ると、平均値よりはやや高いリターンが正規分布よりはやや高い頻度でみられ、平均値計算上の暴落の埋合わせとなっている。この-4σや-5σの株価の月間暴落をもし予知して回避できたら、その資産運用上の利益は甚大であるが極めて困難ないし無理だろう。回避できる合理的手法が無いのなら、資産運用は正規分布に基づく判断よりは、もっと用心深い側にずらしておくのが良いであろう。即ち、国債投資を”順当比率”よりも多めにしておくのがお勧めと言うことになる。 
(2009/9/12/ UP) (2010/6/8/正規分布の説明文へのリンクを張りました)

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