(6-3) 最適短期ポートフォリオのリバランス

 “最適”ポートフォリオを計算して所定金額比で金融商品を購入しておいても、時間経過につれて金融商品の時価変動が商品毎に異なるため金融商品の占有比が当初比からずれてくる。そこで、値上りにより占有比の大きくなった商品の一部分を売り、占有比の低下した商品を買い足して、当初の金額配分比に戻すことをここでは「固定比リバランス」と呼ぶことにする。一方、前項記載のように、短期ポートフォリオの運用成績が投資時の円高安の“ズレ率”に中程度の逆相関を示すということは、リバランス時の円高安状況に応じて目標配分比を変えてやると、運用成績が改善できることを示唆している。目標配分比を経済状況に応じて変えたリバランスを「動的リバランス」と呼ぶことにする。ここでは様々なリバランスの効果を検討する。

 最適短期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=91:1:1:1:6)に従った100万円投資を1998年10月末に実施し、その後半年毎(毎年の4月と10月の月末)にリバランス繰り返した場合の運用成績シミュレーション結果を図6-3-1に示した。株式投信売却益への20%課税、投信解約時の留保分(0.05%、EM株は0.3%)もリバランス時に差引いて、ノーロードのSTAMシリーズ インデックス ファンドで運用した時、個人投資家が手にできる実際の評価額変化を計算している。
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 図6-3-1において、「無リバランス」(黒線)はリバランス無の保有してるのみという運用結果を示し、「固定比リバランス」(赤線と赤丸)は半年毎のリバランス時に「日債:外債:日株:外株:EM株=91:1:1:1:6」の配分金額比となるよう投資信託の売買を行ったときの評価額の推移を示す。

 最適短期ポートフォリオの「動的リバランス」として、名目為替レートのズレ率(ドル円とユーロ円の名目為替レートのズレ率の平均値、第2章の第2節参照)が±5%を越えたら、円高のときは円物(国債と日本株)への配分比を10%減少させてその分を外貨物(外債、外株、EM株)への配分比を増やし、円安のときは外貨物への配分率を20%減少させその分を円物購入に回す(詳しくは、この節末尾の表6-3-2参照)。このような動的リバランスを半年毎に実施したときの運用成績(図6-3-1の青線と青四角点)は、無リバランスや固定比リバランスのいずれよりも良い結果となった。この動的リバランスは2000年から2002年にかけての為替変動にうまく対処して全体としての好成績をもたらしている。

 しかし、2007年以降の最近2年間の赤線と青線の差はほとんど一定で、赤青両方の線は平行である。過去に向かって減衰する重みをつけた統計処理でリターン・リスク・相関係数を求め、これに基づいてポートフォリオを組んだことを考えると、2009年11月末算出の「日債:外債:日株:外株:EM株=91:1:1:1:6」のポートフォリオは、最近の経済情勢にあわせたものになっている。と言うことは、半年毎のリバランスの度にリターン・リスク・相関係数を再計算し、これを元にポートフォリオを組み直し、それに従ってリバランスすれば、それが図6-3-1の動的リバランス(青線)に近いものになるように思われる。手間暇を惜しまなければシミュレーションは可能だが、筆者にそこまでの根気は無い。

 結局、最適短期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=91:1:1:1:6)に対するリバランスは「固定比リバランス」または「動的リバランス」が良い成績を与える。無リバランス時に較べて、評価額の推移グラフの凸凹が小さくなっている、つまりリスクが大幅に下がって、従って元本割れの可能性が低下している。なお、1998年10月月末にSTAMシリーズ・インデックス・ファンド5つを使って「最適短期ポートフォリオ」で100万円の一括投資を実施し、半年毎にリバランスを2009年10月末まで繰り返したとき、リバランス時のファンド買換えに伴う納税の累積額とファンド留保金の累積額、ならびに2009年10月末リバランス完了時のポートフォリオ評価額(税や留保分の差引き済み)を表6-3-1に示しておく。なお、”リバランス無”のときは投資信託の売買がないので、税負担も投信解約に伴う留保金の差し引きもないので、表6-3-1には項目として上げてない。
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 動的リバランスにおけるポートフォリオの具体的な配分比を表6-3-2に纏めておく。
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(2009/12/7/UP)(2009/12/24/修正)

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