(10-4)山勘の長期ポートフォリオ(5年以上の運用で元本割れ無し)

 5年以上寝かせておけるお金は、金額比で 日債:外債:先進外株:EM株=40:10:25:25 のポートフォリオに投資し、半年毎にリバランスを続けると、平均年利で4.7%程度の運用益を手にできる。このポートフォリオに「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」と名付けておく。このポートフォリオは、丁寧に考察した中期投資向けや長期投資向けポートフォリオが出来るまでの“取り敢えず”の“落第点ではない”中長期投資向けポートフォリオのつもりである。退職金などの纏まったお金の投資時期分散は1年後、2年後、3年後の一括投資のように行うのがよい。

 中期、長期の適切なポートフォリオを丁寧な検証を進めながら探すと時間が掛かる。そこで、取り敢えず山勘で無難な長期ポートフォリオを組む立て、これを利用する。金融工学における「市場ポートフォリオ」の考え方(http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/50657574.html)を広く適用すると、効率的なポートフォリオは、リスク金融商品(リスク金融商品とは、元本割れの可能性のある金融商品のことであり、代表的には債券と株式)全てを、その市場価格時価総額比に比例して保有することである。世界債券と世界株式の時価総額比は2007年時点で、世界債券:世界株式=4:3 (http://plaza.rakuten.co.jp/ossanpower/diary/200812260000/ )とのことなので、極めて大雑把に、そしてしばしは推奨されている投資金額比 世界債券:世界株式=50:50 を選ぶ。

 市場時価総額比では、債券投資における金額配分比も株式投資の金額配分比もほぼ同じと推測され、国内:先進外国:EM国=10:75:15 ということになる。しかし何度も書いてきたように、最近20年間に亘って長期減価傾向があるので日本国内株式への投資は避けておく方がよい。また海外投資も、先進国よりもエマージング国(EM国)の経済の方が元気なので、株式投資金額比は 先進外国:EM国=25:25 位でどうだろうと考える。

 次に、債券投資の投資配分において海外債券投資比率が大きいと、低リスクでかつ株式時価変動と逆相関(または無相関)であるべき債券投資が為替リスクを通してかなり大きなリスクを背負い、同時に株式投資との順相関を背負い込む。従って、債券投資においては為替リスクを軽減しておくべきであり、国内債券投資金額比を多くして40、海外債券投資は少なくして10をエイヤッと選ぶ。海外債券投資は低リスクを旨として海外先進国債券のみに投資し、エマージング国債券には投資しないという選択がある。或いは海外債券投資の中での先進国:EM国の配分比は株式投資と同等な比にすることも考えられる。最終的に、債券投資の金額比率は、国内:先進外国:EM国=40:10:0(または=40:5:5) となる。

 以上を纏めて、取り敢えずの、長期投資向きの山勘ポートフォリオは、
   日債:外債(先進国):EM債:外株(先進国):EM株
     =40:10:0:25:25
     (または=40:5:5:25:25)
ということになる。これが、取り敢えずの、間に合わせの、無難な中長期ポートフォリオである。これを「山勘ポートフォリオ」と名付けておく。EM国債券インデックスファンドの歴史が短く、その長期データが無いので、ここではEM債投資比率ゼロのポートフォリオを採択する。つまりここでの「山勘ポートフォリオ」は
  日債:外債(先進国):EM債:外株(先進国):EM株
   =40:10:0:25:25
のものである。

 10章2節の半減期20年の指数関数型減衰重み付の債券・株式指数の統計パラメータを使って、「山勘ポートフォリオ」のリスクとリターンを計算すると、
 リターン=6.99%   リスク=10.51%   リターン/リスク比=0.665
となる。これらの値は、Bestではないにしても及第点の長期投資ポートフォリオという感じである。
画像
   (図をクリックすると拡大された図が出てきます)

 先進国債券指数(Citigroup WGBI ex Japan without hedge、円表示)時系列データが入手できた1980年10月以降について、半年毎のリバランス有(赤太線)とリバランス無(黒太線)の「山勘ポートフォリオ」評価額推移を常用対数目盛で図10-4-1に示した。ここでもeMAXISインデックス・シリーズ投信で運用することを想定して、リバランス時の投資信託解約留保分はゼロとして計算した。また、リバランス時の投信売買において、株式投信の売却益には20%課税による減額後の再投資実行として計算を行った。1998年10月から2010年4月までの11年半の間の23回のリバランス時の累積納税額は初期投資額の6.7%であった。この11年半の間の納税額総計は、1年半の間の投資収益に相当する。投資収益減額に対する税金の効果は大きい。当然のことながら、赤太線グラフが示すように、リバランス有の方が評価額の変動幅(リスク)が小さい。リバランス有と無の評価額常用対数の推移の一次回帰線(リバランス有は赤点線、リバランス無は黒点線)の式を図に書き込んだ。回帰直線傾きから求めた平均リターンは、リバランス有で4.68%、リバランス無で5.23%である。昨今の都市銀行5年スーパー定期預金の金利ですら0.15%という超低金利時代なので、4.68%という「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」のリターンは充分高い。そして図10-4-1から明らかなように、1998年10月以降現在までの実績によると、「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」での運用には5年以上経過すると元本割れは無い。逆に、5年未満の期間内に使う予定のお金を「山勘ポートフォリオ」で運用してはならない。
 
 退職金などの纏まったお金を投資する場合、この「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」に毎月毎月小刻みに投資しても投資時期分散の効果は小さい。債券と株式に同時に投資するので、株価変動の影響が債券価格の逆変動で緩和されている為である。投資時期を1年・2年位の間隔で分散すべきである。つまり、纏まったお金を例えば3等分し、1/3は「山勘ポートフォリオ」に一括投資し、残りの1/3ずつの二つの纏まったお金は第10章3節の「短期ポートフォリオ」で2年間と3年間運用した後、それぞれを2年後、3年後に「山勘ポートフォリオ」に一括投資する。このような長期スケールでの投資時期分散を図るのがお勧めということになる。

 以上を纏めると、5年以上寝かせておけるお金は「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」に投資すれば平均年利で4.7%程度の運用益を手にできる。「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」とは、金額比で 日債:外債:先進外株:EM株=40:10:25:25 のポートフォリオであり、これに一括投資して半年毎にリバランスする。退職金などの纏まったお金の投資時期分散は1年後、2年後、3年後の一括投資のように行うのがよく、毎月の定額積立投資では時期分散の効果が小さい。勿論、現役サラリーマンの場合は、投資の継続という点で定額積立投資に意味がある。

 第10章の第1節から第4節までの検討結果[(10-1)から(10-4)までの記事]を纏めると、リスク管理された資産運用として、次のようなお金の運用先配分を提唱する:
  生活防衛費と2年以内に使うお金: 銀行預金、円建MMFで運用(無リスク運用)
  2年後以降―5年未満で使うお金: 第10章第3節の「短期ポートフォリオ(リバランス有)」で運用
  5年以上寝かせるお金: 「山勘ポートフォリオ(リバランス有)」で運用
つまり、現金化するときに元本割れはしないという条件で投資先を選ぶと(「リスク管理された投資」とは、「現金化時に元本割れしない投資」と、本ブログでは考える)、上のような投資先金額配分が良いことになった。

注:ここで日債、外債(先進国)、外株(先進国)、EM株 と呼ぶ金融商品とはノーロードのeMAXISインデックス・シリーズの投資信託(またはSTAMインデックス・オープン・シリーズの投資信託、ただしSTAMシリーズ投信には0.1%台の解約留保分の天引きがある)を指し、EM債とはSTAM新興国債券インデックス・オープン(これもノーロード)を指す。このポートフォリオのリターンは長期平均で4.7%程度なので、対面型証券会社で販売の購入手数料3.15%の投信を使うと、投資収益の3/4年分位を先払いで抜かれてしまうことになる。対面型証券会社の綺麗なデスクで、綺麗で人当たりの良い女性に説明してもらうのだから、3%程度の経費負担は当たり前のことと理解するか、或いはそれは勿体無いと考えるかは各人の好みの問題と考える。
(2010/5/12/UP)(2010/5/18/小修正)



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