(10-6) 短期ポートフォリオ改訂(2年運用で元本割れ無し)

 2年以上寝かせて置けるお金の運用先として、日債:外債:外株:EM株=78:13:6:3 のポートフォリオ(ここでは「2010/5/19/短期ポートフォリオ」と名付ける)がお勧めであり、2年ないし2年半の運用期間をおくと元本割れは無い。半年毎のリバランスで年利2.11%の運用益を手にできる。その詳細は以下の通りである:

 信頼できるリターン、リスク、相関係数のセット(表10-5-1)がやっと計算できたので、これらの値を使って、短期ポートフォリオの作り替えも含めて、投資期間の長短に応じたポートフォリオを考える。短い投資期間向けのポートフォリオでは債権投資の割合を多くし、長期間投資のポートフォリオには高リスク高リターンの株式投資の金額比を大きくすることになる。

 そこでまず、短期投資向けのポートフォリオとして、債券投資(日債投資と外債投資の和)が全投資金額の100%から85%の範囲内という条件を付けて、その中で(期待リターン)/(期待リスク)の比が最大付近で且つ期待リターンが大きいポートフォリオを探した。この探索作業には、ネットネーム「タロット」氏のブログからダウンロードした「効率的フロンティア計算シート Ver.1.1.1」エクセル・マクロ・アプリケーションに少し手を加えたプログラムを使った。基礎となるリターン、リスク、相関係数のセットは、表10-5-1のものであり、これから日本株式指数(これへの投資比率ゼロ)を抜き去ったものを使った。こうして見つけたポートフォリオを「2010/5/19/短期ポートフォリオ」と名付けた。その投資金額配分は、
    日債:外債:外株:EM株=78:13:6:3 
であり、
    期待リターン 2.42%、期待リスク 3.28%、 
    期待r/σ比 0.736
    元本割れ確率16%以下の必要年数推計 1.8年
    元本割れ確率2.5%以下の必要年数推計 7.3年
である。なお、元本割れを避けるために必要な運用年数は(A-7)項の式(A-7-4)と式(A-7-4c)によって計算した。このポートフォリオに1998年10月に投資して、4月末と10月末の半年毎にリバランスしながら運用した場合の評価額の推移を計算すると、図10-6-1のようになる。このシミュレーションに際して、投資信託分配金の20%課税減額後の再投資を仮定し、更に株式ファンドの売却益への20%課税も考慮した。

画像
   (図をクリックすると拡大された図が出てきます)

 このポートフォリオの11年半に亘る運用において半年毎のリバランスで株式ファンド売却益から差引かれた税金総額は、当初投資額の1.3%であった。リバランスしない場合の平均リターン2.18%に比べると、半年毎リバランス有の場合の平均リターンは2.11 %でやや悪いが、評価額変動幅はリバランスによりかなり小さく抑えることが出来た。2.11%の平均年利は2010年5月現在の銀行定期預金金利よりも遥かに高い。参考までに、2.11%のリターン実績値は実現確率66%のリターン予測値、2.42%±3.28%、の範囲内である。

 この図から判るように、1998年10月以降現在(2010年5月)までの実績では、このポートフォリオで2年半以上の期間に亘って運用した場合には元本割れは起こってない。また2年間だけの運用の場合の元本割れの実績は、図10-6-1の計20回のリバランス/投資において、1998年10月の投資(2年後は投資額の-0.5%の元本割れ)とリーマンショック金融危機を含む2年間投資の3回、即ち2006年10月末の投資(2年後に-1.8%の元本割れ)、2007年4月末(-3.2%)、2007年10月末(-2.8%)の合計全4回であった。リーマンショック金融危機直前に投資した3回の投資の元本割れは余り大きな金額ではないし、投資期間を更に半年ないし1年間延長すれば元本割れを回避できたことになっている。残りの16回のリバランス/投資において、2年運用後の評価額に元本割れは無い。余程不運でない限り、この「2010/5/19/短期ポートフォリオ」は一括投資後2年間を経過すれば、元本割れすることなく、平均年利2.11%の収益で現金化できる。したがって、2年以上寝かせて置けるお金は、この短期ポートフォリオで運用すると良い。

 10章3節(10-3)で述べた日債:EM株=95:5の「短期ポートフォリオ」に較べて、ここで説明の「2010/5/19/短期ポートフォリオ」(日債:外債:外株:EM株=78:13:6:3)の方がより多様な金融商品に分散投資されているので、経済状況変化に対してより安全な投資であると考えている。「2010/5/19/短期ポートフォリオ」投資が大変不運な時期の実行であっても、投資後3年経過すれば元本割れにはならない。不運にもリーマンショックのような経済大混乱に出くわしたら、緊縮家計で我慢して、2010/5/19/短期ポートフォリオ運用の期間を半年ないし1年延長して経済危機を乗り切れば、元本割れの現金化を回避できる。人生において“絶対の安全”を実現することなど不可能なので、これくらいの我慢は覚悟しておく。 

 ここで使った「効率的フロンティア計算シート Ver.1.1.1」は本当に使い勝手の良い素晴らしいソフトである。これを作って公開したタロット氏の哲学に敬意を再度表してこの記事を終える。
(2010/5/19/UP)(2010/5/20/大幅改訂)(2010/5/22/小修正)

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