(10-16)  2010年9月末時点の運用期間別ポートフォリオ

 2010年9月末までのデータに基づいて計算した指数の統計パラメータ(表10-15-1)に基づいて、運用期間別の最適ポートフォリオを計算する。

 まず短期ポートフォリオを組む。計算方法の詳細は記事(10-6)で説明したとおりである。債券投資割合(国内債と先進国債の割合の和)が0.85-1.00のポートフォリオの中で r/σ 比が最大近傍で且つrの大きなポートフォリオを選ぶ。内債:外債:外株:EM株=88%:4%:5%:3% が最適の短期ポートフォリオとして求まる。期待リターンと期待リスクは r = 2.08%、σ=2.75%、r/σ比=0.7575 である。元本割れ無しの確率が16%以下、2.5%以下になる為に必要な運用期間はそれぞれ1.8年と7.0年と計算された。なお、現時点の短期ポートフォリオの債券投資比率は88%+4%=92%で、半年前の短期ポートフォリオの比と同じであるが、内債:外債の比が変わって内債の重みが少し増えている。なお、外株はMSCI KOKUSAI指数追従のインデックスファンド、外株はCitigroup WGBI指数追従のインデックスファンド;いずれも投資先は先進国のみ。

 さらに用心深い超低リスクポートフォリオは、この短期ポートフォリオと預入れ期間1年の普通定期預金(仕組や新型の付く定期はやめた方が良い)の内で高金利のものを探して1:1の比で混ぜて組み立てる(1:1の比に特別な根拠は無い、好みで決めた)。一応、住信SBIネット銀行の0.264%の1年定期を使うことにする(2010/10/3現在、オリックス銀行の0.3%が、調べた限りでは最高金利)。そうすると、1年定期:内債:外債:外株:EM株=50%:44%:2%:2.5%:1.5% のポートフォリオとなり、その期待リターンと期待リスクは r = 1.17%, σ= 1.37%, r/σ= 0.854 となる。元本割れ無しの確率が16%以下、2.5%以下になる為に必要な運用期間はそれぞれ1.4年と2.6年と計算される。

 新規に上記の「短期ポートフォリオ」や「超低リスクポートフォリオ」の投資をする場合は、予定金額を1ヶ月以内に期間に分割して投資してしまうのが良い。これら2つのポートフォリオは、投資時期分散により投資完了までに時間が掛かるよりも、一気に投資を済ませて運用期間を稼ぐ方が大切である。

 次に記事(10-7)に倣って「中期ポートフォリオ」を組む。債券投資比率は前回同様に60%-70%の範囲で良いであろう。内債:外債:外株:EM株=69%:1%:23%:7% が最適の短期ポートフォリオとして求まる。期待リターンと期待リスクは r = 3.35%、σ=5.86%、r/σ比=0.5723 である。元本割れ無しの確率が16%以下、2.5%以下になる為に必要な運用期間はそれぞれ3.0年と12年と計算された。

 超長期ポートフォリオを記事(10-8)に倣って計算を進める。外株とEM株のみの組合せで得られる r/σ比最大のポートフォリオは、外株:EM株=60%:40% の構成比で、リターンとリスクはそれぞれ r = 8.25%、σ=20.43%である。次に内債、外債、外株、EM株の組合せで、株式のみで出来たr/σ比最大のポートフォリオと同じr = 8.25% で且つσが最小となるポートフォリオを探すと、内債:外債:外株:EM株=0%:24%:14%:62% が最適の超長期ポートフォリオとして求まる。期待リターンと期待リスクは r = 8.25%、σ=19.72%、r/σ比=0.4186である。元本割れ無しの確率が16%以下、2.5%以下になる為に必要な運用期間はそれぞれ5.7年と23年と計算される。

 長期ポートフォリオを記事(10-9)に倣って求める。内債+外債の全債券投資比率を47%(中期ポートフォリオと超長期ポートフォリオの全債券投資比率の丁度真中の値)に固定した中でr/σ比が最大となる条件で、このポートフォリオを求める。内債:外債:外株:EM株=34%:13%:37%:16% が最適の短期ポートフォリオとして求まる。期待リターンと期待リスクは r = 5.25%、σ=11.09%、r/σ比=0.4736である。元本割れ無しの確率が16%以下、2.5%以下になる為に必要な運用期間はそれぞれ4.5年と18年と計算される。

 以上を纏めると、表10-16-1のようになる。
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   (表をクリックすると大きな表が出てきて読みやすくなります)

 2010年4月末までのデータを基に計算したポートフォリオ(表10-5-1)に較べて、今回(2010年9月末までのデータが基礎)のポートフォリオ(表10-16-1)は日債への投資比率がかなり多い傾向が顕著である。2010年4月末までのデータを基に計算した統計パラメータ(表10-5-1)と今回の2010年9月末までのデータを基とするパラメータ(表10-15-1)の差を判り易くするために、各金融商品指数のリターンをリスクに対してプロットしたグラフを図10-16-1に示した。最近の円高進行を反映して、外債と外株のリターンがやや低下し、リスクがホンの少し大きくなっている。残念ながら、相関係数の変化をわかりやすくグラフ化する方法を知らないが、日債に対する外株とEM株との逆相関が少し強くなっている。
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   (図をクリックすると大きな図が出てくる)

 これら、表10-5-1と表10-15-1それぞれに基づいて算出した「長期ポートフォリオ」のアセットアロケーションをグラフにすると図10-16-2の様になる。 2010年4月末までのデータを基に計算したポートフォリオ(表10-5-1)に較べて、今回(2010年9月末までのデータが基礎)のポートフォリオ(表10-16-1)では、日債投資比率が大きく増加、外債投資が大きく減少、外株とEM株への投資も少し減少している。 この投資比率の変化は図10-16-1に示されたリターン対リスクのプロットから予測されるよりも遥かに大きく、図にしてみて投資比率の大きな変化に驚く。この半年間における円高進行と世界的株価低迷を反映した方向への変化にはなっているが、これ程の大きな投資比率の変化を伴ってリバランスをして良いものか否かを迷う。
 外債を売って日債に買い替えるまではしなくても、少なくとも、今後買い足すのは日債のみにして、新しいポートフォリオのアセットアロケーションに近づけてゆくことにする。
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   (図をクリックすると大きな図が出てきます)。

 いずれにしても、金融商品価格のリスク、リターン、相関係数が少し変化すると、最適ポートフォリオは極めて大きく変化するものらしい。ということは、リスク、リターン、相関係数は信頼できるものを使わないと、とんでもないポートフォリオを最適と考えて組んでしまう。怖い話しである。(2010/10/14/UP)(2010/10/17/手直し)


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