(11-3) 運用途中の評価損は不可避

資産運用の基本について考えた。
 株式、債券、投資信託あるいはそれらを組み合わせたポートフォリオが、もし銀行定期預金や国債よりも高い利率で且つ評価損を経験することも無く運用できるなら、多くの人がそのポートフォリオを使った資産運用を目指す。その結果それらの金融商品の価格は上昇してしまい高額の元本が必要になって、そのポートフォリオの高かった収益率は下がってしまう。つまり、評価損が出ることも無く、銀用預金や国債よりも高い利率で資産運用が出来ることはありえない。
 逆に、買えば必ず損をする(あるいは銀行預金以下の利益しか生まない)株式や債券は誰も買わないので値下がりして、結局適度な収益率の出る価格に落ち着く。

 かくして不運な時の損失の大きな金融商品の価格は低く、幸運な時にその商品のもたらす収益率はかなり高いものとなる。不運な時の損失の少ない金融商品の価格は高くなるので、幸運な時の収益率は低い。こうして資産運用の原則は高リスク高リターン、低リスク低リターンとなる。金融工学における“高リスク”とは、価格変動幅(価格の揺らぎ)がリターン(平均収益)に較べて大きいことを意味するが、それはまた評価損の可能性が高いことになる(金融商品価格の揺らぎが負の方向に起こったとき評価損になる)。

 ベストな運用とはリスクに見合ったリターンを得ることである。しかし高リスク低リターンは起こりうる、へまをしたり騙されたときである。低リスク高リターンはありえない、もし有れば人々が群がってきて金融商品の価格上昇が起こって低リターンになってしまう。

 リスクに見合ったリターンを得る為には、投資先と投資時期を分散して、少数の“不運”が自分自身の運用資産の中で大きな比重を占めないようにする必要がある。もう一つの重要な点は、銀行預金や国債を越える収益を求めてリスクを取った場合は必ず評価損に出会うことを知っておくべきである。しかし“順当な投資”においては、永遠に評価損の出たままにはならない筈である。かくして、余裕資金を寝かせておける期間に応じて組み立てたポートフォリオに投資し、寝かせている間(つまり予定の運用期間内)に評価損が出てもそれは将に予想通りであって気にする必要は無い。その投資の現金化の時期になって銀行預金や国債よりも高い収益になっていれば良い。“順当な投資”においては、運用期間に応じてリスクを取って、所定の運用期間を終えた時の現金化に際して順当なリターンを得る。

 “順当な投資”のポートフォリオは、金融商品の過去の価格変動を調べてそれを外挿し、統計学を利用して組み立てる。つまり、金融商品の値動きの予測は出来ないので値動きはランダム現象であると近似する。歴史も人生も一度きりのことなので、類似投資を類似条件下で統計的に繰り返すことは出来ない。そこで、投資期間を長くして統計学的な多数回“実験”の予測に近づく筈と期待する。一生続ける資産運用は、一生を通じて見たとき統計的平均になっているだろうと考える。

 以上を纏めると、
(1) 投資先と投資時期の分散を図って、少数の“不運”が自分自身の投資において高比重になるのを避ける、
(2) お金を寝かせておける期間に応じたポートフォリオで運用する、即ち予定運用期間を終えて現金化するときには収益が挙がっているようにポートフォリオを構成する、
(3) 運用期間中には評価損の出る時期もあるが、それは予期される事態であって運用の失敗ではない、
(4) 長期間運用、高リスク、高リターン;短期間運用、低リスク、低リターン が当たり前である。

 インデックスファンドを使った長期投資を目指す時の心得を、ついでにもう一つ。日経平均やダウ平均あるいは弗円為替レートの報道には、値そのものに注目しておくべきで、昨日と較べてどれだけ(あるいは何%)上がった・下がったと気にしても始らない。マスコミは変化を強調して“騒ぎを大きく見せて面白くしたい”という側面を持つ。自然科学の世界では関数の変化を強調したい時、関数の高次微分を使う。でも高次微分だけを見ていると、関数値を忘れてしまう。例えて云えば、自動車を運転している時、速度(走行距離の1次微分)ばかり睨んでいたり、速度の変化(走行距離の2次微分)ばかり気にしていたら、どれ程の距離を走ってきたのかを忘れてしまう。自動車運転の本当の目的は、目的地までの距離を走ることである。(2010/11/19/UP)

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