(10-19) Citigroup WGBIの“擬似”時系列データ、リターン、リスク

 この記事の改訂記事「20-21. “外債投信指数”(Citigroup WGBI擬似指数)の時系列データの再調査」(http://williberich.at.webry.info/201204/article_3.html)も合わせてご覧下さい。


 先進諸外国の国債のインデックス(Citigroup World Government Index except Japan, Japanese Yen Basis)値の長期時系列データは無料公開されていない。しかもこの指数の変動幅は、為替レート変動を直接反映しているために、大きくて変動の周期も長い。従ってこの指数の適切な統計パラメータ(リターン、リスク、相関係数)を得るためには是非とも長期時系列データがほしい。色々と探した結果、日興シティグループ証券株式会社の那須野恵江氏(現時点では転職されている?)が2007年11月2日付で発表されたレポート(講演のスライド?)のPDFファイルが見つかった。この中にWGBI指数の1984年12月から2007年9月までの月次データのグラフが掲載されていた。このグラフをカーブ デジタイザで数値化して長期時系列データを採録した。グラフから読み取ったデータなので、変動が平滑化されてしまい、結果としてリスク算出値は過小評価される筈であるが、リターンはまともな値が得られる。アセットアロケーション決定に最も重要なパラメータはリターンなので、この点では助かる。

 次の問題は、1987年12月月末以降現在に至るCitigroup WGBI擬似値(インデックスファンド時価)の時系列データに、今回のグラフから読み取った時系列データを繋ぐ作業である。STAMグローバル債券インデックスファンドなどの時価の月間変動幅はベンチマーク指数から信託報酬などの投信経費が差引かれている。そこでグラフから読み取った“真のWGBI指数”からも投信経費分として年利0.877%を差引いてインデックスファンドの時価に換算する。次に「グラフから読み取ったデータ(1984/12/31―2007/9/30)」と「インデックスファンド時価データ(1998/10/31―現在)」の重複した期間(1998/10/31-2007/9/30)の両擬似指数値の平均換算比を算出し、この換算定数を掛けて両時系列データを繋いだ。こうして得たCitigroup WGBI ex Japan 円換算指数の対数チャートを図10-19-1に示した。

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   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 このグラフのピンク縦線より左側の部分(1987/12/31-2007/9/30)はカーブ デジタイザでWGBIのチャートから読み取って作成した時系列データ部分、右側はWGBIをベンチマークとするインデックスファンドの時価の時系列データであり、両部分を滑らかに繋ぐことが出来た。1984年から現在に至るまでの全期間に亘って、この指数の対数プロットは一本の直線(点線グラフ)の周りに分散していると見なせる。

 円表示のWGBIは、1985年6月、1992年9月、1998年9月、2008年8月というように、5年から10年経つと価格が大きく下落する。下落は2年から4年続き、下落幅は対数値で0.15前後、つまり最高値の70%位にまで下落し、その後に価格上昇が始まり、かっての最高値を更新するというパターンを繰り返している。この繰り返しの通りだと、間もなく(1年、2年すれば)外債価格の上昇が始まる。今は評価損が出ていても我慢して外債インデックスファンドを売らずに持っている方がいい。お金の余裕と勇気があれば、そしてもし図10-19-1の将来への外挿を信頼するならば、むしろ外債ファンドを少しずつ買い足してゆく? 

 これで、近似値ではあるがCitigroup WGBIの長期時系列データが入手できた。図10-19-1の対数プロットの一次回帰線(点線)の傾きは年利5.13%を与える。この全時系列データの月間値上り率の単純平均からはリターン3.51%、リスク9.10%を得る。いつもの様に、対数プロットの傾きから計算した年利と月間値上り率の単純平均からの年利の平均を取って、外債インデックスファンドの長期平均リターンとして4.32%を採択する。長期データが使えるので、統計パラメータの計算の度にリターンが大きく変動することはもう無くなる筈である。次にリスクの計算に進む。ファンド時価の時系列データ(1998/10/31以降のデータ)のみを使ってリスクを計算すると、年リスク10.50%を得た。グラフ読取の際の平滑化によるリスク過小評価を避けるためにグラフから読み取ったデータは使わず、投資信託時価のデータのみを使ったこの算出値10.50%をリスクの値として採択する。他のクラスの指数との相関係数の計算も、リスク計算と同様、ファンド時価の時系列データ(1998/10/31以降のデータ)のみを使うことにする。つまり、Citigroup WGBIのリターンとリスクとして、それぞれ4.32%、10.50%の値を選んだ。

 これまでの諸検討を重ねる内に、リスク、リターン、相関係数などの統計パラメータ算出方法などを変える必要を感じるに至った。つまり、基本的に複利で収益の出る債券や株式の運用においては、その価格そのものの値上り率のリターンやリスクではなく、価格の常用対数の上昇率を使って計算したリターンやリスクを使うべきであると感じるに至った。ポイントは、「複利で上昇する商品の価格の妥当な平均値は、相加平均ではなく相乗平均である」という点、そして「真数の相乗平均は、対数では相加平均となる」という点である。新しい方法で計算が出来るまでの数ヶ月間の投資の進め方としては、運用アセット アロケーションを下に示した表10-10-1(2011/2/17/改訂)のポートフォリオに近づけることを目標とする。今回得たCitigroup WGBI擬似指数の長期データから再評価したリターンが4.32%と高い値に戻ったのがこのポートフォリオ選択の主な判断材料である。
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   (表をクリックすると大きな読み易い表が出てきます)


(2011/2/15/UP) (2011/2/17/修正) (2011/2/18/修正)

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