(20-2) 金融商品指数の長期チャート

 ここで使う投資信託の一般名、ここで使う略称、ならびにそのベンチマークとなる指数は以下の通りである。そして、採用した指数値は税引き後の利息や配当を再投資したと仮定した指数(NET指数)から更に典型的インデックスファンド(STAMかeMAXISシリーズの投信)の投資信託コストを差引いた値を用いる。“投資信託コストまでも差引いた指数”という意味で、このブログでは時として“投信指数”と呼ぶこともある。
  国内債券 日債 日興BPI総合 
  海外先進国国債 外債 Citigroup WGBI ex Japan ヘッジ無、円表示 
(無料公開無く、市販投信時価履歴(http://williberich.at.webry.info/200912/article_1.html)や公表されたチャートから逆算(http://williberich.at.webry.info/201102/article_2.html))
  国内株式 日株 MSCI Japan Net指数 円表示 
  海外先進国株式 外株 MSCI KOKUSAI Net指数 円表示
  新興国株式 EM株 MSCI Emerging Markets Net指数 円表示
  データソース:
  日興BPI:  http://www.nikko-fi.co.jp/Nindex/bond/download/download.html
  MSCI株価指数:  http://www.mscibarra.com/index.html
  為替レート:  http://money.www.infoseek.co.jp/MnForex/fxlast.html
  投信の時系列データ:ヤフージャパン ファイナンス のホームページ

 まず、五つの金融商品指数の長期間時系列データのグラフを図20-2-1に示した。この図にはドル/円とユーロ/円の名目為替レートの平均値(これを以下では“(名目)平均外貨”と呼ぶ)のチャートも書き込んだ。外債指数を構成する外国国債はドル物とユーロ物が大半(ユーロ物の方が多いが、そこまでは気にしない)を占めるので、外債指数と為替レートの関係を見るためである。 

 図20-2-1には指数や為替レート(これをyと表す)の対数値(log10 y)を日付(指数を“測定”した日付を1900年1月1日から数えた日数、これをxと表す)に対してプロットしたので、このグラフの傾きkは指数の値動き率の1日当りの利率(rd、複利表示)ならびに年リターン(年利、ry あるいはR 、複利表示)とは次の関係にある:
画像
   (式をクリックすると、拡大図が出て読みやすくなります)

なお、365.25は閏年も考慮した1年間の実日数である。グラフの傾きが大きい(右肩上がり)グラフが、収益率の高い金融指数である。傾きが負(右肩下がり)のグラフは、投資すれば損失が出ることを表す。
画像
   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 五つの金融商品指数の値動きチャートに、各指数のプロットに最小二乗法で最適化した直線グラフ(一次回帰線)を引き、その傾き(図中に点線で示した)を(20-2-3)式で年リターンに換算すると、
  日債       4.6%
  外債       5.1%
  日株       5.3%
  外株       6.6%
  EM株      6.6%
  “平均外貨”  -3.1% (本文参照)
となる。

 “平均外貨”は、日本円が変動為替制度入りした1972年以降現在までの長期平均で見れば(茶色点線の傾き)、3.1%の年率(複利)で円高・外貨安が進行していることになる。つまり“平均外貨”は日本円に対して長期平均では年率-3.2%で減額している。これは「平均外国」では日本よりも年率差3.2%でインフレが進んでいることを意味する。外国と日本のインフレの差は複利で累積し、その対数プロットは直線に乗る。

 外貨預金をするときは、外貨表示の年利だけでなく、日本円から見た先進国“平均外貨”の価値が年率-3.1%の複利で下落することを考慮しなければならない。外貨表示の金利が高くても、円に戻すとき先進国通貨ですら平均年利-3.1%の複利の為替損失が待っている。一般に新興国のインフレ率は高く、その通貨の対円値下がり率は先進国平均通貨以上であろうと推測する。それ故、新興国通貨建ての外貨預金には為替損リスクが極めて大きいことを充分考慮しておくべきである。なお、前述の外債の平均年利+5.1%などの外国物への投資のリターンは日本円表示であって、“平均外貨”の価値下落は補正済みの値である。

 図20-2-1のピンク色グラフの日本株価指数であるが、1990年正月の資産バブル崩壊後は現在(2011年2月)に至るまで20年余りに亘って、基本的に減価している。よって、Buy and Holdの運用を基本とする長期インデックス運用においては日本株式への投資は、当分の間は休んでおく方が良い。日本株の長期値上がり傾向が明らかになった時点で日本株式インデックス投信をポートフォリオに加えることにして、現時点では日本株式への投資は休んでおくのが賢明だと判断する。

 次に赤色グラフの日本債券(国債3/4程度、その他の債権1/4程度の構成比)への投資を考える。グラフ全体(1980年以降現在に至る30年間)に亘る長期平均値4.8%の年リターンは如何に何でも過大評価である。どう見ても現時点では2%以下の年リターンと評価するのが妥当である。グラフの最近10年間を見ると年リターン1%くらいで不規則変動幅少なく(つまり、低リスクで)時価が微増している。為替リスクが無く、時価の不規則変動幅(つまりリスク)が小さい、この2点が日本債券への投資の魅力であり、また株式指数との負相関ないし無相関ももっと大きな魅力である。一方で、現在(2011年2月)のような日本の大規模累積財政赤字に関して日本政府や日本経済機構への信頼喪失が起こり始め、格付け下落が進むと、既発債券価格の急落(金利急上昇)が起こり、大きな損失を被る。でもその時は銀行預金も危ない、なぜなら邦銀の預金運用先は日本国債が大きな割合を占めているとのことだから。多分、日本の経済も政治も大きく混乱する。日本債券に投資している間は、国内金利動向には充分注意しておくべきである。金利急上昇を感じたら即座に国内債券関連の投資信託の全てを売払うべきである。低リスク低リターンの筈の国内債券投資で大火傷を負うなんて全く馬鹿馬鹿しい。

 黄緑色グラフの先進外国株価指数(MSCI Kokusai 指数)は、およそ半分を米国株式が占めるので米国経済状況の影響が大きい。この指数は1969年から1979年までの10年間は横這い低迷したが、それ以降は比較的順調に上昇している。1979年以降の株価横這い低迷期間は長くて7年程度。5-7年間の低迷が有るとその後は順調に株価が回復している。リーマンショック金融危機の株価急落もスパイク状に半回復までは進んだ。今後ゆっくりと回復が進んでほしい。

 青色グラフの新興国株式指数(MSCI Emerging Markets 指数)は、先進国株式指数によく似た、ただしより大げさな値動きをしている。株価横這い低迷期間は長くて7年程度。5-7年間の低迷の後は順調に株価が急回復している。リーマンショック金融危機の株価急落もスパイク状の半回復もMSCI Kokusai指数に倣いながら大げさな変動を示している。新興国株式指数投資はハイリスク・ハイリターン。

 暗緑色グラフの海外先進国国債指数(Citigroup WGBI ex Japan指数、円表示)の値動きは、正の傾きの直線の上に更に$/\と€/\の平均為替レートの値動きが乗っかったような動きである。即ち、図10-1-1の暗緑線と茶色線は短期間で見るとほぼ平行に変動しているが、長い期間幅で見ると暗緑線(外債)は茶色線(平均外貨)に較べてより大きな正の傾きを示している。これは海外先進国国債指数が為替レート変動の影響を強く受けるが、しかし長期間では為替変動幅を超えた収益がかなり大きいことを示している。
(2011/2/28/UP)



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