(20-8)  長期・超長期ポートフォリオのBuy&Hold運用の実績追跡

2011年1月末までの金融商品指数の統計パラメータに基づいて計算した長期ならびに超長期ポートフォリオ(http://williberich.at.webry.info/201103/article_6.html)について、過去のパーフォーマンスを調べた。

長期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=1:55:0:42:2)
結論: 満8年以上の運用で元本割れ実績無し
    12ヶ月間の分散投資(ドルコスト法)を推奨

 1987年12月末以降の各月末において長期ポートフォリオの投資を行った場合、投資後6年から10年経過した時の運用成績がどのようであったかを図20-8-1に示した。横軸は投資した時(月末投資)を示し、縦軸は所定の運用期間を経過した時の収益を当該期間平均年利(複利)換算で表示した。
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元本割れ無しになる為に必要な最短年数は8年であった。最も不運な8年運用は2001年1月末から2009年1月末(リーマンショックによる世界の株価指数と円建外債指数の底打ちのとき)までの投資で、平均年利換算で0.05%、100万円投資が8年後に100万4千円になっているだけ。1987年以降の186回全ての8年運用の実績の平均は年利6.70%(年利に対する標準偏差2.92%)であった。一方、7年間以下の短期間運用では元本割れが複数回起こっている。よって長期ポートポリオでの運用において元本割れを回避するには8年間以上の運用期間が必要と判断する。
 8年間以上の運用であれば、リーマンショック級の大金融危機のどん底時点において現金の必要に迫られて売却しても、元本割れはない。もし可能であれば、現金化をホンの数ヶ月の間待てば、運用成績は格段に良くなる。例えば、上記の最不運成績の100.4万円の場合でも、ポートフォリオ現金化を3ヶ月遅らせると、115.4万円(年利表示では1.81%)を手にできた。

 長期ポートフォリオの8年運用に、1/12金額の12回月末投資(1年間の時期分散投資;ドルコスト法)を適用すると、図20-8-2に示したように、1998年1月末頃や2001年1月末頃の投資の悪成績が幾分か改善された。
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等分金額を1年間に分散して投資した8年運用(正確には1/12金額を8年半昔から7年半昔の間に等分投資した100万円の現在の評価額)は、一括投資に比較して、最悪成績は 100.4万円 から104.5万円 に、平均成績は 135.0万円 から 135.6万円 に改善されている。


超長期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=0:30:0:55:15)
結論: 満12年以上の運用で元本割れ実績無し
     24ヶ月間の分散投資(ドルコスト法)を推奨

 1987年12月末以降の各月末において超長期ポートフォリオの投資を行った場合、投資後10年から14年経過した時の運用成績がどのようであったかを図20-8-3に示した。横軸は投資した時(月末投資)を示し、縦軸は所定の運用期間を経過した時の収益を当該期間に対する平均年利(複利)換算値である。
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 元本割れ無しになる為に必要な最短年数は12年であった。最も不運な12年運用は1998年6月末(海外株高、円安の時期)から2010年6月末(株価未回復、円高の時期)までの投資で、平均年利換算で0.11%、100万円投資が12年後にやっと101万4千円になっているだけ。1987年以降の全ての12年運用の実績の平均は年利6.49%(年利に換算した標準偏差3.24%)であった。一方、11年間以下の短い期間の運用では元本割れが複数回起こっている。よって超長期ポートポリオでの運用において元本割れを回避するには12年間以上の運用期間が必要と判断する。
 12年間以上の運用であれば、不運な時期に現金の必要に迫られて売却しても、元本割れはしない。上記の最不運成績の101.4万円の場合でも、更にポートフォリオ現金化を3ヶ月遅らせると、108.6万円(年利表示では0.69%)を手にできた。
 超長期ポートフォリオ一括投資12年間運用のパーフォーマンスの1987年以降の平均値(年利表示)は6.49%、標準偏差は3.24%であり、長期ポートフォリオの8年運用よりも悪い。これは、超長期ポートフォリオ構築の際、EM株投資割合を少し多めにするようなバイアスを掛けたからである。先進国株式よりもエマージング国株式の長期収益はこれから良くなってゆくと予測して、少しだけバイアスを掛けた。

 なお、過去のポートフォリオ・パーフォーマンス平均値計算において、国内債券投資の割合が多い短期・中期ポートフォリオは1998年以降のみに限り、一方海外の債券・株式への投資の多い長期・超長期ポートフォリオの平均値は1987年以降の期間にしている。

 超長期ポートフォリオの12年運用に、1/24金額の24回月末投資(2年間の時期分散投資;ドルコスト法)を適用すると、図20-8-4に示したように、1997年7月末頃や1998年7月末頃の円安期の投資の悪成績が幾分か改善された。
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等分金額を2年間に分散して投資した12年運用(正確には1/24金額を13年昔から11年昔の間に等分投資した100万円の現在の評価額)は、一括投資に比較して、最悪成績では 101.4万円 から109.7万円 に、平均成績では 121.1万円 から128.4万円 に改善されている。

 長期・超長期ポートフォリオの長期に亘る運用の場合は 当然といえば当然だが、投資時期が不運なとき(株高、円安)はドルコスト法適用によるパーフォーマンス改善が大きく、現金化の予定時期が不運なとき(株安、円高)は少し待つとパーフォーマンスが大きく改善される。超長期ポートフォリオ12年の最不運運用は前者の例、長期ポートフォリオ8年の最不運運用は後者の例である。
 長期・超長期ポートフォリオ運用の現金化予定時期になってパーフォーマンスが“極端に悪い”(例えば平均年利換算値0.5%以下)と判ったときに現金化を2―3ヶ月間待つべきか否かを考えよう。基本的には待てるものなら待った方が良い。投資開始時期が不運だったのがその原因か否かは、過去のデータのプロット(例えば、図20-2-1、 http://williberich.at.webry.info/201102/article_4.html を見れば判る。もし株価指数がピーク付近の時期に投資していたのなら、2―3ヶ月間待っても改善幅はあまり大きくはない。一方、投資時期が不運ではないのにパーフォーマンスが年利で1%よりもずっと悪いのなら、それは現金化時期(今)が現金化に不適切時期なのであって(つまり金融危機のドン底付近)、2―3ヶ月間待てばパーフォーマンスが大きく改善される可能性が高い(米国FRB議長や世界の政治家が頑張る;日本の政治家や機関も頑張ってくれるのならばそれに越したことはない)。
 ただし、低リスク低リターンである国内債券中心の短期ポートフォリオの場合は、ドルコスト法適用はむしろ運用期間の短縮から生じるパーフォーマンス悪化の効果が大きいので推奨しない。
(2011/6/8/UP)(2011/6/9/図20-8-1など手直し)

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