20-37. 分離課税分の確定申告と地方税、国民健康保険料ならびに介護保険料

確定申告書作成において、源泉徴収あり特定口座での配当や株式・投資信託譲渡所得、あるいは一般口座で管理している海外籍ETFで税金を源泉徴収された配当所得など、分離課税される所得を申告するかどうかを迷うことが多いので、少し丁寧に調べました。その結果(筆者の居住地について)は次のとおりでした。分離課税項目の確定申告により 余分だった納税額の還付を受けても、個人住民税と国民健康保険料の余分な増額は起きない。一方、介護保険料の納付義務者(65歳以上の人)にとっては、(イ)前年までの譲渡損失の繰越控除の請求、(ロ)外国税と国内税の二重払い分の還付請求ならびに(ハ)損益通算(申請年度内の譲渡のみについて、複数口座にわたって譲渡益から譲渡損失を差し引いて所得額を求めること)については、居住地の介護保険料算定法を調べて申告事項を選択する方が良い。ただし、損益通算で譲渡益が無くなる場合、介護保険料にも影響を与えないので実施する方が良い。以下に詳しく説明する。

分離課税分の確定申告を迷う理由は、以下の通りです:
(1) (A)二つ以上の証券会社の特定口座で投資信託等を譲渡した場合、損益通算(同一年内複数口座の譲渡損失と譲渡益を通算して、過剰な納税分を還付請求する)、(B)投資信託等の前年までの譲渡損失の繰越控除(過去三年間の投資信託等譲渡損失の累積額を今年の譲渡益から控除して、今年の過剰な納税分を還付請求する)ならびに(C)外国税と国内税の二重払いの還付請求(海外証券取引所で購入したETFの分配金は外国の税金と国内の税金が二重払いになっており、この二重払い部分の税の還付制度を使う)によって源泉徴収された余分な税金の還付を求める。これらはいずれも確定申告書に記載しなければ、余分に支払った税の還付を受けることができません。
(2) 一方、これらを申告すると、次年度の個人住民税、国民健康保険保険料ならびに介護保険料の算定にこれらの所得が反映され(確定申告書に記載しなかった分は反映されない)、個人住民税、国民健康保険料ならびに介護保険料が増額される可能性がある。
(3) 上記の(1)の還付金額よりも(2)の増額の方が多ければ、分離課税分の申告をしない方が良く、申請しないことも合法です。逆に(1)の還付額の方が多ければ、分離課税分の申告は合法的な節税になる。そして、
  国税:個人住民税:国民健康保険料:介護保険料=1:2:4:1 
の比率という例もあり、 個人住民税、国民健康保険料及び介護保険料のいずれも国税と同程度ないしそれ以上に大きな金額であり、国税だけの軽減を考えるのでは片手落ちとなります。

国民健康保険料:
この保険料は、総合課税分の所得金額【社会保険料控除などの前の金額;具体的には「平成25年度分の所得税及び復興特別所得税の申告内容確認票」B 第一表の(9) の金額】を基にして計算される。分離課税分の所得は考慮されないので、分離課税分を申告しても国民健康保険料に影響を与えない。

個人住民税:
この税金は、①総合課税分の所得 と ②申告した分離課税分の所得 とにそれぞれ異なる税率を乗じて算出された税額の和として課税される。申告した分離課税分に対する住民税の計算法は特定口座の源泉徴収の場合と同じであって、税率も同じである(平成25年分は3%。なお、特定口座で源泉徴収されるのは、国税分7%+地方税分3%=計10%)。従って、分離課税分の国税が減額するように確定申告書を作成すれば、地方住民税も減額される。
なお、個人住民税の算出法の説明文はそれぞれの自治体HPで公表されているが、これがなかなか判読しずらい。要となる点は、確定申告した分離課税分の所得に対する税率が3%(H25年)か10%(地方税の一律税率)かという点である。心配な方は、居住地市役所の地方税担当部署に問い合わせておく方が良い。確定申告しなければ3%、したら10%というようなペテンのようなことは無いと考える方が順当ですが、自治体の説明文章がそのようにも読み取れるものも多々見られる。

介護保険料(65歳以上の人が納付):
この保険料は、「合計所得金額」(これはきちんと定義された税務用語で、国税庁HPに定義が記載されています)から算出されます。

「合計所得金額」とは、筆者の判読に基づくと、
  総合課税分の諸控除前の所得金額と
  前年までの譲渡損失を繰越控除する前の分離課税分
                   の個々の所得金額の合計と
を足し合わせた金額です。
具体的には、「合計所得金額」とは
  「平成25年度分の所得税及び復興特別所得税
     の申告内容確認票」B 第一表の(9)の金額と
  同第三表の(59)~(69)の金額の和と
を足し合わせた金額です。

前年までの譲渡損失に対する所得控除や外国税と国内税の二重払いに対する税額控除を確定申告した場合、あるいは損益通算で譲渡益が残る場合、申告しなかった場合よりも「合計所得金額」が大きくなります。そのために介護保険料が増額する可能性があります。従って、申告による還付税額と申告による介護保険料増額を比較して申告するものを選択する必要が出てきます。

筆者の居住地の介護保険料は、「合計所得金額」の増加に応じて階段状に増額することになっています。具体的には表20-37-1のとおりで、上限は129780円です。

画像
   (表をクリックすると大きな表が出てきます)

介護保険料に関しては、確定申告に記載する事項の取捨(特定口座で源泉徴収済みの分離課税事項を申告しなくても合法です)による損得は、個々に計算してみるしか比較方法は無いようです。e-taxで確定申告する場合は、確定申告事項を色々と変えて計算してみるのは容易ですが、手計算だと大変だと思います。

最後に、e-taxによる確定申告は何回でも提出(送信)できて、最終提出した書類が採択されます。従って、より“お得な”申告書の書き方が見つかれば、提出期限内(2014/3/17まで)であれば訂正して再送信すればよいわけです。なお、地方税、国民健康保険料ならびに介護保険料の計算方法は各自治体毎に細かい点では異なるようなので、居住地自治体が採用している計算法を調べる必要があります。また、筆者の調査や文章判読に誤りが有るかもしれないことも書き添えておきます。投資に関わることは全て自己の判断で実施するべきです。とは言っても、この記事が多少とも節税に役立てば、記事を書いた意味もあるというものです。
(2014/3/7/UP)

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