(20-41) 改訂版:実質実効為替レート建てで「最安全MMFセット」を組む

(日本円実質実効為替レート建ての評価に基づき、先進国通貨MMFを組合せてμ/σ最大のポートフォリオを「丁寧に」組む)

日本円実質実効為替レート(つまり、日本円の外貨購買力;ここでは「¥ERER」と略記する)での評価の基づいて、先進外国MMFと日本の個人向国債(変動10年)の組合わせでμ/σが最大(つまり、元本割れ回避必要運用期間が最短)のポートフォリオを前項(20-40)の記事よりも少し丁寧に計算しなおす。

¥ERER建MMF元利合計をXと表すと
 X = W × A × B
となる、ここに
 W: 外貨建てのMMF元利合計
 A: 名目為替レート、単位外貨が何円で買えるかを表す値、米ドルなら102.15など
 B: 日本円の実質実効為替レートのBIS発表値を100で割った値
である。

外貨建てMMFの利回りの時系列データは、過去11年分、しかも各暦年1年間の平均値だけしか素人には入手できない。つまり時系列データ数は11個だけ。これでは内外の債券指数や株価指数追従のインデックスファンド(月次データが数百個)と組み合わせてポートフォリオを構築するの為の統計パラメータをまともに算出するのは少し難しい。そこで、外貨MMF元利合計の直近11年間の月次データの近似値だけでも得ようというのがこの記事の狙い。

一年間のX, W, A, Bの変動をΔX, ΔW, ΔA, ΔBとおくと、Xの年間変動率は、上のXの式から
 ΔX/X = ΔW/W + ΔA/A + ΔB/B
と近似できる。この近似では、Δ付きの項の2次以上の高次微小項は無視している。2014年6月現在カブドットコム証券(なお、カブドットコム証券は2014/6/6-2014/7/7の間、外貨建MMFスプレッド零キャンペーン中!)の扱っている先進国外貨MMFのそれぞれについて、各項の変動率 ΔW/W 、ΔA/A 、ΔB/Bの絶対値(つまり、変動の幅)の直近11年間の平均値は下の表20-40-1のようになった。

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(表をクリックすると大きな表が出てきます)

¥ERER建外貨MMF元利合計の年間変動率(ΔX/X、つまり利回り)をもたらす要因は、変動率の大きいものから小さいものの順に
  Δ名目為替レート  ≧ Δ¥ERER > Δ外貨建利回り
であることは上の表から一目瞭然。これならば、¥ERER建外貨MMF元利合計の月次データは、まあまあの近似として、
  年平均の外貨建て利回り × 名目為替レート月次値 × ¥ERER月次値
の考え方で計算してもよさそうである。11年間の正確な年次データだけを基礎とするよりも、同じ期間の近似的な月次データを基にする方を選ぶことにした。

このようにして、2002年年末に10円投資したと仮定して近似計算した外貨MMFの元利合計の日本円実質実効為替レート建の評価値の常用対数、ならびに日本の個人向国債変動10年の元利合計の日本円実質実効為替レート建の評価値の常用対数の経時変化を求めると、図20-41-1のようになる。なお、この図の太紫線で表した「最安全MMFセット」については記事後半で説明する。

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(図をクリックすると、大きな図が出てきます)

この図のデータから求めた日本円実質実効為替レート建の各通貨MMFと個人向国債の元利合計の常用対数の統計パラメータは表20-41-2のようになった。

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(表をクリックすると大きな表が出てきます)

この表のパラメータを使ってμ/σ期待値が最大となるアセット・アロケーションを探すと、
AUD : JPY : NZD : USD : CAD = 66% : 28% : 6% : 0% : 0%
の構成比が求まった。

この構成比は、前回の記事(20-40)で求まった構成比
AUD : JPY : NZD : USD : CAD = 0% : 26% : 74% : 0% : 0%
と比べるとよく似ている。つまり、今回と前回の構成比を、(AUD + NZD):JPYの形にすると。
  前回  (AUD + NZD):JPY=74%:26%
  今回  (AUD + NZD):JPY=72%:28% 
で、よく似たアセットアロケーションである。AUD-MMFとNZD-MMFとの間には強い相関がある(例えば、表20-41-2の両者間相関係数は0.6496)ので、(AUD + NZD)の全体における占有比率に大きな意味が有り、 AUD : NZDの比は統計パラメータのちょっとした差で大きく変わるが、その変化はポートフォリオのμやσの期待値に大きな影響は与えない。

そこで「最安全MMFセット」として、(AUD + NZD):JPY=72%:28%を選び、AUD : NZDの比は両国のGDP比に比例させた。こうして「最安全MMFセット」として
  AUD : JPY : NZD : USD : CAD = 64% : 28% : 8% : 0% : 0%
を選ぶ。このポートフォリオのμとσの期待値はそれぞれ0.0141と0.0222であり、これを表20-41-2に太字で示した。また、この「最安全MMFセット」の元利合計経時変化を太紫線で図20-41-1に示した。太紫線グラフを見ると、5.5年以上の運用期間を経ると元本割れは回避できている。平均の利回りは年利幾何平均表示で3.3%で、「最安全MMFセット」がMMFの組合わせであることを考えるとかなり高い年利である。

この次のステップで、各種インデックスファンドと「最安全MMFセット」の組合せによって、短期や長期の運用に適したポートフォリオのアセットアロケーションを探し出して行くことにする。

最後に、日本円実質実効為替レートの意味についての感じていることを少々。前回の(20-40)の記事では、日本円実質実効為替レートが実生活における生活物資の購買力を直接表しているように書いたが、それは少し違う、あるいは、少しずれていると感じる。「日本円実質実効為替レート」は、”為替レート”という名称が示すように通貨交換に関わるもので、日本円のもつ外貨購入の購買力を示し、かつ表している外貨購買力には関係国のインフレ補正が加えられらたものである。一方、国際分散した資産運用では、通貨配分も重要な因子であり、この面で名目為替レートよりも実質実効為替レートを基にする方がより適切な通貨配分ができると感じる。つまり、日本国内で日本円で生活していても、貿易や国際交流を通して、日本円がもつ為替リスクを我々は受けている。日本円実質実効為替レート建てで考えることにより、日本円のもつ為替リスクを自然な形で資産運用に取り込むことができる。実質実効為替レート建のポートフォリオをもう少し進めてみる価値はある。
(2014/6/28/UP)

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