(20-50) 改訂簡単長期運用―REIT投資からは逃げておく

前回の記事(20-49)で、インデックス型のバランスファンドを利用した手間のかからない資産運用を考えた。その運用の中にREIT投資を少し含めるために、投資信託「SMTインデックスバランス・オープン」の利用を計画した。しかし、ブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」の記事「流動性リスクをあなどるなかれ」(http://jovivi.seesaa.net/article/422239549.html)をきっかけに、もう少し丁寧に調べなおした。その結果REIT投資を含む運用は避けた方が無難と考えるに至った。金融プロフェッショナルのブログは有り難い。

 まずはデータから始める。世界の株式時価総額、世界の国債残高総額、そして世界のREIT総額は概略で表20-50-1のようになっている。

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(表をクリックすると拡大された表が出てきます)

  世界のREIT時価総額は株式総額または国債総額の2%程度しかなく、極めて小規模な市場である。しかも、世界総額1.2兆米ドル、日本円にすると140兆円程度の小さな市場に、REIT投資だけに特化した国内投資信託の純資産だけでも5.6兆円余り(モーニングスター 純資産額上位20投資信託の内、REITに特化したもののみの合計、2015年7月現在)が入っている。 まさに「流動性を侮るなかれ」の忠告を聞くべき事態になっている(或は、近づいている)。

 こうなると、購入する投資信託は「世界経済インデックスファンド」(この投資信託には、債券:株式の投資比率の異なる三種類がある。REIT投資は含まれてない)だけにして、日本、先進外国、ならびに新興国それぞれの株式と債券の6クラスに分散投資するのが良かろうと考える。運用にREIT投資を含めない方が無難と考える。

 次に考えるのは、今の時代は日本のみならず世界中で金融緩和・低金利政策実施中の状態だ。これは、リーマンショック金融危機救済目的で採用された(これで社会の不安定化とその極みである戦争を避けようとしている)異常な状態であり、長期的にはいずれ金利が(多分、ゆっくりと)正常化に向かい上昇すると考える。ということは既発債券の取引価格は長期的には下落傾向をもつ(現行金利上昇=既発債券取引価格下落。なぜなら、債券は固定金利で発行される)。したがって、長期運用の場合、中・長期債券への投資は低額にしておきたい。一方で債券の市場価格は、株価と多少とも逆相関の値動きをし、そして価格変動幅は株式よりも小さい。つまり債券への投資をやめると投資ポートフォリオの運用リスクが高まる。こうして、「世界経済インデックスファンド(株式シフト型)」を選ぶことにする。このファンドでは、株式:中・長期債券の投資比率が75%:25%であり、中・長期債券への投資を低い比率で含んでいるのが良い。健康で若いサラリーマンは長期運用が可能なので、「世界経済インデックスファンド(株式シフト型)」一本に投資していればいいと思う。この投資信託を余裕資金で買い足して行くだけでよい。リバランスは投資信託内部でやってくれるので、投資信託を買うだけで、後はほったらかし運用ができる。仕事と家族に多くの時間を割きたい若い人向けの長期運用が無理なくできる。そしてこの投資信託は信託報酬年率0.594%(税込)と低率であり、かつノーロードファンド(ネット証券で購入の場合)である。

 年齢が上の人向けのポートフォリオとしては、中・長期債券投資を抑えつつ、債券投資割合を増やして、債券:株式の投資比率を40:60にすることを考える。「世界経済インデックスファンド(株式シフト型)」における債券投資の不足分は短期債券(MMFなど)への投資で補う。つまり世界経済インデックスファンド(株式シフト型)に加えて、短期債券にも投資するのが安全策と考える。短期債券は元本割れする危険は極めて低い。しかし利回りは当然低いがやむを得ない。

 更に短期債券投資先は先進国に分散させる。2012年秋口から進み始めた円安がゆっくりと国内物価押し上げに効き始めて、最近は生活物資の値上がりが厳しい。日本円の価値が低下して輸入品が円建では値上がりし、これが国内物価に反映され始めている。つまり、国内投資対象に限った金融商品であっても、日本円の購買力に円高・円安が反映されるという為替リスクがある。こいういった為替リスクの低減の為に、短期債券投資は日本円:先進国外貨=1:1に分散する。円高や円安による購買力減少被害を半減するのが狙い。

こうして、高齢者向けポートフォリオとして、
 「世界経済インデックスファンド(株式シフト型)」:
         円建MMF:先進国外貨建MMF = 80%: 10%: 10%
を選ぶ。円建MMF投資枠の多くを「変動10年個人向国債」にしてもよい。ただし、個人向国債は購入後1年間は売却できないので時期をずらしながら買い進める。また、個人向国債の利子は円建MMF等に再投資しなければならない(例え金利が低くても、複利を狙うべきである)。先進外国通貨建MMFとしては、基本は米ドル建MMFを選ぶ。これを選ぶのは、バックとなる経済規模が大きくかつ相対的には安定しているからである。この枠の1割程度を、好みに応じて、豪ドル建やニュージーランドドル建のMMFにするのも良い。

 この高齢者向けポートフォリオでは、投資先の大筋は
    短期債券:中・長期債券:株式=20:20:60、
    日本:先進外国:新興国=18:54:28
になっている。この配分比はどちらかと言えばややチャレンジングな色彩を帯びた安定志向のポートフォリオとして妥当と感じる。

 こうすれば、年1回くらいのリバランスをしながら、手間のかからない、そしてリスクコントロールがある程度効いた長期運用が可能になると考える。一応原則として、10年間以上の長期運用を考えている。不運なら運用開始初期の7年間くらいの間には元本割れもありうるが、その時慌てないこと、運用から逃げ出さないことが大切と肝に銘じておく。長期運用部分の大幅元本割れ事態中(多分、新聞等に金融危機とか株価暴落とかの記事が連日出てくる)は、長期運用部分はリバランスするだけにして取り崩さず、必要なら生活防衛資金を少し取り崩しながら多少質素に生活して耐える。リーマンショック級の金融危機のドン底期はせいぜい3年間程度であろう。ただし、あれがドン底期だったと判るのは事後なのがつらいが、一応、このポートフォリオの評価額が最高値の3/4以下まで低下していれば「ドン底期」と判断していいかと考える。

 銀行預金以上の利回りが得られ、そして元本割れは絶対に起こらないというような魔法の資産運用方法は無い。もし有れば、銀行間競争があるのだから、銀行預金の金利がもっと高くなっている筈。一方、初期の元本割れが有ってもそれに耐えて長期間運用すれば(多分10年以上)銀行預金よりは高い平均利回りが得られる。順当な資産運用はそういったものである考える。そうでなければ、投資する人は一人もいなくなるので、株価が低下し(或は、配当が高くなり)、運用成績がいずれ改善される筈である。ただし、投資先は世界に分散しておかねばならない。投資先を一つの国のみに限定している場合は、井の中の蛙状態で、数十年の長期運用であっても損失を重ねるという場合もありうる。

 なお、大病など予期せぬ大型出費を賄うために保有しておく生活防衛資金として、2年分くらいの生活費を用意している。このお金は長期にわたって放置することになるが、この間の”日本円のもつ為替リスク”を抑えるために、円建MMF(あるいは変動10年個人向国債)と先進国外貨建MMFに1:1で分散しておく。一方、3年以内に使う予定のお金(旅行費用、車の買替費など)は、円建MMFや日本円の定期預金(あるいはMRF)にしておき、リスク商品や外貨建商品投資には回さない。
(2015/7/20/UP)

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