(20-57) 国内外の株価と債券のインデックスの長期チャート、その2:チャートと対数統計パラメータ

「世界経済インデックスファンド」で採用されている金融商品指数に対応する「投信指数」(円建値)の常用対数値の長期時系列データならびに$/¥為替レートの常用対数値のデータをチャートにすると図20-57-1のようになる。

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指数の対数プロットが、現在から過去に向かって概ね直線に乗っているとみなせる期間のグラフを太線で示した。

まず日本株、1990年の資産バブル崩壊以降、長期傾向は値下がりである。2012年以降は日本株価も上昇しているが、年金機構の積立金を多量につぎ込んだり、日銀が日本株のETFを大量購入し、その影響もあって値上がりした株価であり、日本経済活性化による上昇でとは言えない。一方、先進外国株も新興国株も上のグラフを見ると20年、30年という長期で見ると上昇傾向である。これらの指数の傾きは年利5 - 6%に相当し、10年で概ね2倍になり、35年で10倍になる。

日本債券指数は1998年以降、年利1.5%で安定な上昇を続けている。値上がり率の変動幅は極めて小さいが、上のグラフの中で変動幅が飛びぬけて小さい。

$/¥為替レートの対数の長期傾向は米ドルのゆっくりした日本円に対する減価が続いており(上図の黒点線グラフが負の傾き)、その周りでドル・円為替レートが周期的(概ね10年周期)に上昇・下落を繰り返している(黒実線グラフ)。今は2012年頃の円高・ドル安期から5年経過し、中期的には円安・ドル高のピーク辺りという時期に当たる(当たるも八卦、当たらぬも八卦)。いずれにしても、US$MMFのドル建て利回りは年利0.6%前後である。一方、黒点線の傾き(-1.22×10^(-5)/日)は、この為替レートが長期的には幾何平均年利-1.0%で減少していることを示している。従て、US$MMFを安全資産として長期保有することは合理的ではない。

先進外国債券指数の短期と中期の変動は$/¥為替レートの変動と密接に相関している。

日本株式指数、先進外国株式指数、そして新興国株式指数の三者の短期・中期の変動は2000年以降は強い相関を示し始めている。

さて次に、六つの指数の対数統計のパラメータの計算に進む。太線グラフ部分から指数の対数統計のパラメータを得た。この図の点線は上述の通り太線部分に対する一次回帰線であり、その式を点線グラフに添えている。点線の傾きの横軸は経過日数、縦軸は「投信指数」の常用対数である。点線の傾きから指数(真数)の年倍率の対数の平均値を計算できる。対数グラフの傾きは真数(つまり指数そのもの)の増加率(値上がり率)に比例することに注意してほしい。また点線と各プロットの差の二乗平均から指数の対数のランダム変動のパラメータ(標準偏差)が計算される。同様の考え方で、各指数の増分の対数間の相関係数ρも計算できる。

こうして得た「投信指数」の常用対数の統計パラメータ(指数の年倍率の対数の平均値μ、その標準偏差σならびに指数の対数の増分間の相関係数ρ)を表20-57-1と表20-57-2にまとめた。

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EM債の指数(JP Morgan Emerging Markets Bond Global Diversified)に追従するインデックスファンドの歴史は短く、したがってデータ収録期間は8年と短く、μの値の信頼度は低い。とはいってもEM債のμの値は外債のそれに近く、大間違いではない値が求まっている。一方、EM債のσやρはランダム変動(したがって短周期)によるものである。したがって、それらの値の信頼度は、データ収録期間が短くてもμの信頼度よりは高い。

日債の値動き幅がずば抜けて小さいことは安定投資先として魅力的であるが、幾何平均年利1.5%はちょっと低い。日債のρが株式指数三者(日株、外株、EM株)と弱いながらも逆相関を示すので、ポートフォリオに日債を含めるとポートフォリオの評価額変動を抑えてくれるという大きなメリットがもたらされる。

外債、EM債、外株、EM株の間に中程度の正の相関がある。これは為替変動がこれらの変動をかなり支配しているためと考えられる。特にドル円為替レート変動が外株と外債の間に正の大きな相関を与えていると考えられる。

日株、外株、EM]株の三者の間には中程度以上の正の相関がみられる。世界の経済が密接に結びつき、景気・不景気が世界中で同時進行していることの反映であろう。三者が短期・中期的には類似した価格変動を示すのなら、長期には負のリターンを与えている日株への投資は押さえて、外株やEM株への投資を進めておくおく方がよいと考える。

日債のリターンは低く、また日株のリターンが負であるなら、Buy and Holdの長期投資を目指すと、為替リスクが大きくても海外投資がメインにならざるを得ない。そして円高による運用資産評価額低下への備えとして、低リターンであっても評価額変動が非常に小さい日債への投資を少しだけしておくのが良さそうである。
(2017/2/2/UP)


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