(3-3-(0)) 株式投資のリターン、リスク、相関係数の定性的説明

 3-3項では、資産運用におけるリターンとリスクの定義を述べ、その計算法を検討する。図3-2-1の株価の月々(あるいは日々)の価格変動を年率に換算した値の“平均値”を資産運用の世界では「リターン」と呼ぶ。株価の月々(あるいは日々)の価格変動の“平均値”からのズレはランダムでガウス分布(平均値を中心とする釣鐘型の分布、正規分布ともいう)していると考え、ズレの変動幅(年利の変動の平均値(リターン)からのズレ)の平均値(統計用語では、標準偏差)を資産運用の世界では「リスク」と呼ぶ。リターン(年利表示の利益)以上の利益が出ることも、損失がでることも、両方を含めて「リスク」と呼ぶ。金融・経済の世界で「リスクが大きい」とは、利益の平均値からずれて大きな利益を得る可能性も高く、同時に多額損失となる可能性も高いことをいう。

 日本株(例えば日経平均)が値上がりするとき、日本国債の取引価格は下落の傾向を示す。逆に株価下落のとき、国債価格は上昇傾向を示す。このような関係を、日本株価と日本国債は負の相関を示すという。一方、最近はアメリカ株価(例えばダウ平均)が上がるときは日本株価も上がる傾向を示す。このような関係を、ダウ平均と日経平均は正の相関を示すという。このような、二つの金融商品の値動きの関連性(相関)を表す統計量として、相関係数がある。相関係数は-1から+1の範囲の値を持ち、-1なら完全な逆相関、+1なら完全な順相関を、そして0なら二つの金融商品価格が相互関係なく変動することを表す。二つの金融商品の間の相関係数は、今後の投資における各金融商品購入金額比の決定の際の最重要因子である。リターンとリスクと相関係数が決まればアセットアロケーション(日本株、海外株、日本国債、海外国債など各金融品への投資金額配分のことをアセットアロケーション、Asset Allocation、と呼ぶ)は自動的に決まる。そこで、まず「リターン」の計算方法を検討する。具体的には、リターンを長期収集データの単純平均で計算して使うか、あるいは何らかの重みを付けた加重平均にするかを決定する。「リターン」とすべき“平均値”の計算法が決まれば「リスク」と相関係数の計算法は必然的に決まってくる。

 まず、次回の記事で、MSCI KOKUSAI株価指数並びにMSCI JAPN株価指数の月間値動きの分布を調べ、値動きが正規分布にほぼ従っていることを見る。次次回以降の記事で、リターン、リスク、相関係数の評価法に付いて検討し、そしてリターン、リスク、相関係数を決定し、更にアセット・アロケーションの選択に進む予定である。

 今後、個人投資家が現実に手にすることの出来る運用益(運用損失も)を計算するために、投資信託の経費(信託報酬+管理費)を差引いた“補正済み”のMSCI指数を、全ての計算に用いる。そして、投資信託経費は住信アセットマネジメント社が運用し、ネット証券がノーロード(購入手数料なし)ファンドとして販売している、「STAMシリーズのインデックスファンド」の投資信託経費(信託報酬の目論見書掲載値ないし直近の実績値 + 管理費の直近実績値ないし推定値)をMSCI指数から差引いた。具体的には以下の投資信託経費を差引いてMSCI指数を“補正”した:
  指数名:          投資信託経費の年率表示  「投資信託の名称」
  MSCI Japan Net Index: 年率0.42% 「STAM TOPIX インデックス・オープン」
  MSCI KOKUSAI Index: 年率0.76% 「STAM グローバル株式インデックス・オープン」
  MSCI Emerging Index: 年率1.20% 「STAM 新興国株式インデックス・オープン」
「STAM 新興国株式インデックス・オープン」の歴史は短く、管理費がどの程度か不明であるが、やや多い目の管理費を仮定して補正した。(2009/9/12/ UP)

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  • フェラガモ 靴

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