(3-3-(2))  リターン・リスク計算法として半減期20年の減衰重み付き加重平均法を選択

要旨: 日本株、先進外国株、エマージング国株の値動きのリターン、リスク、ならびに相関係数を算出する方法として、過去に向かって統計的重みを減衰させた加重平均法が妥当である。”重み”は指数関数的に減衰させ、半減期間を20年とすると、妥当なリターン等が求まり、このブログではこの方法を採択する。なお、半減期15年の”重み”も候補である。
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(注: このページでは、数式部分をクリックすると、数式部分のみの拡大図が出てきて、数式が読みやすくなります)

 株価指数値動きから株式投資のリターン、リスク並びに相関係数の評価に関して3つの方法を検討する。


単純平均法:

 まず検討するのは、最も普通の方法であって、長期間の全ての月の価格変動の年率換算値をそのまま加え合わせて平均値を求め、これをリターンとする。各月の価格変動の年率換算値とリターンとの差の二乗の平均値の平方根(即ち、標準偏差)をリスクと呼ぶ。
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 ここに、x_t (「_」は下付文字であることを表す) はt番目の月の年利換算価格変動率であり、nはデータの数(データ収集した月の数)である。
 なお、例えば、(A-1-2)のような数式の番号は、この書き物の「Appendix A」の章の第1項の第2式であることを示している。式の誘導等については、「Appendix A」として纏めて記載されている。


 指数型減衰重み加重平均法(統計学的重みの半減期20年):

 国の経済力は指導者の資質、経済社会システムの有り様、国民の平均的な勤労意欲などに依存し、これがその国の経済成長に反映され、更に経済成長が株価に反映される。これらの“国力”因子は一定に保たれているのではなく、ゆっくりと変化している(こうして国の興隆と没落が起こる)。国力は半減期20年位でゆっくりと変化していると考える。一国の指導層は10年位で世代交代し、2世代の交代で過去の国力実績の半分が後世に伝えられていると評価するわけである。こう考えて、年利換算した株価変動の平均値計算において、20年昔のデータは直近過去のデータの50%の“統計学的重み”しかないとする。このような、半減期20年の重み関数として妥当な関数は指数関数であり、
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とすればよい。ここに、M_t はt番目のデータがM_tヶ月過去のものであることを示しているものとする。この重みをつけた加重平均リターンとリスクは、
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で求まる。

 重み半減期を10年にすると、2008年の金融危機のような短周期の大幅変動が起こったとき、平均リターン・平均リスクの変動が余りに大きくて不適当である。一方、40年以上の長い半減期にすると単純平均法と大差なく、1990年以降の日本の株価の不調がカムフラージュされてしまい、判断を誤る。このようにして、半減期20年を妥当と判断した。

 なお、重み(w、このブログでは 0 < w< 1 の範囲の w を使うことにする)を付けたときのリスクや相関係数の計算方法は、その現象が、例えば100×w回に亘って繰り返して起きたと考えれば良いわけで、単純平均のリターン計算に対応するリスク計算式と相関係数計算の式に重み係数を掛けて計算するだけで良いことになる。


対数化一次回帰法(対数化線形回帰法)

 税引配当を再投資したときの株式投資の時価(MSCIのNet指数)は、配当の再投資とまた個々の企業内部における研究開発や設備投資との両面から考えて原理的に複利で増加する。また債券投資も利息を再投資すれば複利で時価が増加する。したがって株式投資も債券投資も根底において複利で時価が増大する筈のものである。この点に注目すると、株式投資(や債券投資)時価のNet指数データ y は長期平均では複利の数式
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に従って増大すると期待される(a 元本、d 日歩、u 投資日数。 なお、(3-1-2)式は、項目番号(3-1)の記事に既出です)。 そこで株価指数や債券指数yの長期時系列データの対数を経過日数 u に対してプロットし、その傾き k から1日当りの平均リターン(つまり日歩) d を求めるのが合理的はリターン計算方法となる。経過日数を横軸とするプロットの傾き k と年利 r の間には次の関係がある(365.25は閏年も考えた1年の平均日数):
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 なお、このリターン(平均値)計算法は、変則的な相乗平均を計算することになっている。
 
 また、過去の各月末の株価指数(や債券指数)データから1月間の時価変動率を求め、その12倍で年間変動率を算出し、これを各月の月間リターンの年利換算値を x_t と表すと、対応するリスクは形式的に以下の(A-1-2)式で計算することになる。このリスク(標準偏差)計算法の問題点は、変動のデータ の平均値が零でないことである。しかし、標準的な計算法を参考にしてリスクの計算を強引にやっつけてしまうことにする。すなわち、リスクは次の様に計算する(数学的にはただしくないが簡便である);
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半減期20年の減衰重み付き加重平均法の選択:

 上述の三つの方法それぞれを使い、1969年12月末 から2009年8月末までの約40年間の日本株価(MSCI JAPAN、Net指数、円表示、投資信託経費相当額削減済)と日本を省く先進国の平均株価(MSCI KOKUSAI、Net指数、円表示、投資信託経費相当額削減済)のNet指数の変動のリターン、リスク、相関係数を求めると、表3-3-(2)-1の結果を得た。
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     (表をクリックすると拡大されたものが出てきます)
 
 図3-2-1(2009/9/11/UPの項目番号(3-2)の記事)に示されたMSCI Japan 指数とMSCI Kokusai 指数の経時変化グラフを見ると、1990年以降現在(2009年8月末)に至るまでの日本株式(MSCI Japan指数)への投資は日本以外の先進国株式(MSCI Kokusai指数)への投資に較べて低リターン・高リスクである。これに対して単純平均法のリスク・リターンの値は日本投資が高リターン低リスクとのパラメータ値を与えていて、如何に何でもこれは不適切である。一方、減衰重み付き加重平均法(半減期20年)と対数化線形回帰法は共に妥当でほぼ同じ性格のパラメータ値を与えている。そして、指数型加重平均法(半減期20年)には半減期の選択に人為的任意性が残るが、対数化線形回帰法にはそのような任意性が無い。しかし、対数化一次回帰法のリスクや相関係数は数学的には正しくはない。
 
 かくして結局、ここでは半減期20年の指数型加重平均法を採択することにする。(2009/9/13/UP)

 追記: 国内株は前述のように、1990年正月のバブル崩壊以来現在に至るまでの20年間に亘って下落基調のなかで変動している。これは図3-2-1(2009/9/11/UPの項目番号(3-2)の記事)が示している。その下落基調の日本株に+4.58%の平均リターンが算出されるのは、不適切で、間違った投資判断を導く可能性があると考える人もいるかもしれない。経済成長を考えず分捕り合戦のみを助長する政党しか出てこない現状では特にそうである。その場合は統計的”重み”の半減期を15年程度に短くすると、全体のバランスを保ちながら日本株のリターンとして小さな値が出てきて、最終的にはポートフォリオ内に占める日本株の割合が小さくなる筈である。(2009/12/25/追記)

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