(8-5B)  株価上昇や株価下落の特異月(円表示先進国平均株価指数から)

要旨: 皆さんハッピー師走の株価、正月来の損に上乗せ長月の株、出くわしてしまったらハラハラドキド株価暴落もある神無月。
------------------------

 時々、「株価急落が起こりやすい9月・10月には、・・・」のような表現を株式アナリストやブロガーの文章にみることがある。でも洒落ているのはマークトェーンの次のような感じの文章(又聞きで、かつ文意のみ再現)「株式投資に最も不適切な月は1月と10月、これに劣らず危険なのは7月、11月、12月。また投資家が注意すべき月は3月と5月、そのほかに2月、4月、6月、8月も危険なので注意しなければならない。」

 社会・経済は会計年度の始まり、四半期や1年毎の決算発表、経済指標の数ヶ月毎の定期発表、年末商戦などの暦に従って毎年繰り返されている。結果として、株価の上昇しやすい月や下落確率の高い月があるかもしれない。それを知っていれば、株式を売るのには株価下落月の前を選び、あるいは株式投資増額は上昇月の前に行って、運用収益率を少し改善することが出来る。

 そこで、MSCI World Index, Net (先進23ヶ国の平均株価、その内の半分近くは株式市場規模の大きな米国株価指数が占める)の日本円表示値の変化を調べた。最近はダウ平均と日経平均が平行して動くので、この調査は日本株価の変動に限定しても有意義と思う。この指数の各月の月間変化率(%)の、1970年元旦から2009年8月末までの39年8ヶ月間について平均値、標準偏差(金融用語ではリスク)、最大値、最小値を図示すると、図8-5B-1のようになる。

画像
     (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 各月における株価月間値上り率の平均値を図8-5B-1に黒丸点プロットで示した。この39年8ヶ月間の全ての月の平均値である0.513%(年利換算6.329%)から大きく外れた平均値を示す月がある。正のズレが最も顕著なのは12月の月間値上り率平均値の1.779%である。しかも12月の月間値上り率の標準偏差値は3.702%で、12ケ月間で2番目に小さい値である。株価月間値上り率がほぼ正規分布に従っていることは既に図3-3-(1)-1に示した(2009/9/12/ UP の項目番号(3-3-(1))の記事)。従って統計学は12月の月間株価値上り率が負にならない(株式投資で月間損失が出ない)確率は68%であると教えてくれる。もし手数料や税金が無ければ、11月末日に先進国株式を買い12月末日に売払うことを繰り返していると、10回に7回は儲けが出て、毎年これを繰り返していると平均で年利1.78%の投資利益を得ることになる。この結果は2009年9月現在の定期預金よりは良い資産増加をもたらす、もし手数料も税も無ければの話ですが。また、各年の12月の月間値上り率の最悪値は1980年の-8.13%で損失は他の月に較べて少ない方である。株価月間変動率の平均値、標準偏差、最小値を他の月と較べると、12月はどちらかと言うと株価値上り傾向のある月であることを示している。なお、12月の株価値上り率の最大値は、他の月に較べて大きいわけではない;これはこの月の標準偏差が小さいことの反映である。

 次に、株式が下落しやすい月を探してみよう。図8-5B-1から、月間平均値上り率が最小と次最小となる9月と8月がその候補となる。9月は平均値上り率-1.554%で、標準偏差5.284%、よって9月の月間投資成績が負になる(即ち損失を出す)確率は61%である。8月は平均値上り率-0.272%で、標準偏差5.225%、よって8月の月間投資成績が負になる確率は52%である。以上、月間株価値上り率がその標準偏差に較べて歴然と損失側に偏った月は無いということから、月間の株式投資損失が大きくなる統計的に有意な特異月は無い。そう言ってしまっては身も蓋も無いということで無理に挙げるとすれば9月と8月の損失確率がやや高いので、どちらかと言えば、もしいずれ近々売る予定の株式があるという場合なら8月、9月の下落確率のやや高い月になる前に売っておく方が良いかもしれない。

 株価月間変動率のブレ(標準偏差、リスク)が大きいのは10月である。しかし、10月の標準偏差を大きくしているのは、ブラックマンデー暴落の1987年10月の-21%の株価下落と、リーマンショック金融危機の2008年10月の-25%株価下落の二つの暴落である。もしこの2件が無ければ、10月は株価平穏な月と評価されることになる。別の言い方をすれば、直近40年間での最大の月間株価暴落(-21%と-25%)は2回とも10月に起こっている。3、4番目の暴落は1990年9月と1998年8月の-15%であった。株価暴落は8月、9月、10月がお好きなようである。

 株価値上り期あるいは値下がり期に限って現れる各月特有の株価変動の癖というのも有るかも知れない。そこで1970年から2009年までの40年の各元旦から2年間毎のMSCI World Index, Net指数の日本円換算値の対数の変動の月次データをグラフにして図8-5B-2に示した。

画像
    (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 図8-5B-2をじっくりと眺めると8月末のプロット(対数値のプロット)が-0.05より下の領域にある(株価が年初以降11%を越えて下落している)ときの9月の月間値動きは殆どの場合下落である(直近40年間で8月末の株価が年初に比較して11%以上下落していたのが5回、そのうち9月の月間変動が負になったのが4回という実績)。つまり、8月末時点で年初に較べて株式投資評価額に大きな損失が出ているときの9月の値動きは下落となる確率が高い。その他には、歴然とした傾向を図8-5B-2から見つけることは出来なかった。

 なお、2000年代で円表示MSCI World Index の最も月間値上り率の大きかった月は2009年4月の +12.6%であり、1970年以降の最高記録は1975年1月の +13.4%である。

 以上、株価の月間変動を直近40年間に亘って調べた結果は、皆さんハッピー師走の株価、正月来の損に上乗せ長月の株、出くわしてしまったらハラハラドキドキ波乱の株価もある神無月 と言うことになった。

 なお、MSCI World Index, Netの米ドル表示値を使って同様の調査を行うと、日本円表示値での調査結果に較べて、「12月の値上り、年初来株価下落時に顕著な9月の値下がり傾向、株価波乱の10月」といった定性的傾向は同様であるが、定量的には(すなわち、統計的には)もう少しはっきりした傾向が読み取れる。日本円表示値と米ドル表示値の振舞いの差はひとえに為替レートの変動がもたらしたもので、$/\名目為替レートは何となく厄介な動きをしているように感じる。 (2009/9/25/UP)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック