(10-8) 超長期ポートフォリオ(無元本割投資必要期間は10年位)

要旨: 無元本割れ必要年数10年の、超長期ポートフォリオとして 日債:外債:外株:EM株= 0:13:41:46 を選んだ。リバランス無しで運用したときの最近12年間の平均リターンは7.51%であった。半年毎のリバランスをすると平均リターンは1%程度低下するので、頻繁なリバランスは避けた方が良い。

 超長期ポートフォリオを考える。一般にリターンが高いのは株式投資であり、ここで採用する株式投資は先進国株式インデックス(つまり、外株)とエマージング国株式(つまり、EM株)への投資のみである。1988年以降22年間に亘って年率-1.35%の複利で価格低下を続ける日本株式への投資は当分の間休む。外株とEM株それぞれへの投資の組合せの中で無元本割れ必要期間が短いポートフォリオを、(期待リターン)/(期待リスク)比が最大となるという条件で求める。そのポートフォリオは
  金額比 外株:EM株= 64 : 36
  期待リターン= 8.38%  期待リスク= 19.97%
  期待リターン/期待リスク比= 0.4197
となった。

 次に、この株式投資のみで構成した、リターン/リスク比最大のポートフォリオのリターン(即ち8.38%)と同程度の高リターンで、しかし(期待リターン)/(期待リスク)比がもっと大きいポートフォリオを日債、外債、外株、EM株の4つの指数の組み合わせで作る。つまり、株式投資のみで作った高いリターンを保ちつつ、このポートフォリオに債券投資を少し混ぜ込んでリスク低下を図る。こうして求めたポートフォリオが、超長期投資に最適のポートフォリオになる。超長期ポートフォリオは、
  日債:外債:外株:EM株= 0:13:41:46
  期待リターン= 8.36 %  期待リスク= 19.20%
  期待リターン/期待リスク比= 0.4354
元本割れ確率16%以下の必要年数推計 5.1年
元本割れ確率2.5%以下の必要年数推計 18年
となった。元本割れ“無し”に必要な投資年数の統計的推計は、(A-7)項目の式(A-7-4)と式(A-7-4c)によって行った。

 このポートフォリオへのリバランス無と半年毎にリバランスしながらの投資のシミュレーションを図10-8-1に示した。計算には課税による減額も含めた。図10-8-1のリバランス有の場合の全累積税額は初期投資額の8.9%であった。ポートフォリオの評価額の対数プロットの傾きから平均年利実績を求めると、リバランス無で7.51%、リバランス有で6.55%となった。1998年10月以降の実績においては、元本割れ無になるのに必要な期間は6年であった。しかし、超長期ポートフォリオの元本割れ無になるために必要な年数の調査期間として1998年から2010年までの12年間だけでは短すぎるので、上に示した統計的推計値5.1年や18年も参考にして、実質的に“元本割れ無し”になるのに必要な期間の目安は10年位だろうと考えておく方が無難である。
画像
   (図をクリックすると拡大図が出てきます)

 図10-8-1から明らかなように、超長期ポートフォリオでは株式投資の比率が高いので、リーマンショック金融危機における株価暴落の影響が大きく、評価額の変動幅は極めて大きい。評価額下落時でも元本割れがない様になるためには、10年以上の投資期間が必要と言うことになる。

 リバランス付の超長期ポートフォリオの厄介な点は、リバランスにより評価額ピーク値の低下のみが起こり(2007年10月のプロットなど)、評価額ボトム値の底上げがない(2008年10月のプロット)ことである。直近12年間のみの実績からは、超長期ポートフォリオに対してはリバランスをしない方が良いことになる。計算してみると、このようなことになっている主な原因は株式型投資信託の売却益に対する20%課税の累積効果によるが、無税を仮定して計算しても、半年毎のリバランスは少しだけだけれども運用成績の低下をもたらす。超長期ポートフォリオの場合は、頻繁なリバランスはむしろ有害である。経済状況の大きな変化への対処を目指して、2年ないし5年に一度くらいのリバランスが適当なのかもしれない。

 超長期ポートフォリオのもう一つの特徴は、日本債券への投資が無くなってしまう点である。日債のリスクが低いのは良いのだが、余りにリターンが低すぎる。運用期間が長い場合は、やや高リスクであってもその不利は長期運用で解消されるので、日債に較べてかなりリターンの大きな外債投資が債券投資の全てになる。
(2010/6/1/UP) (2010/6/3/手直し)

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