(20-7) 短期・中期ポートフォリオのBuy&Hold運用の実績追跡

 短期、中期の各ポートフォリオ(長期、超長期は次回)の過去の運用実績を見ておく。目的は、ポートフォリオを組むことによって、元本割れ回避に必要な期間がどの程度短縮されるか、また運用期間の長期化に伴って運用成績(評価額)がどのように変わるのかを見ておくためである。ここで調べる運用期間別ポートフォリオは2011年1月末時点までの金融商品指数の統計パラメータに基づいて、20―5節(http://williberich.at.webry.info/201103/article_6.html)で算出したものである。以前にも書いたことがあるように、各金融商品指数の基本統計パラメータ(平均、標準偏差、相関係数)に基づいて最適化したポートフォリオに対し過去に投資したと仮定して調べた実績は“後出しジャンケン”であって、そのポートフォリオの将来の成績はほぼ確実に過去の“実績”よりも悪いと考えておくべきである(後出しジャンケンの成績は公正なジャンケンよりも必ず成績が良い)。この点は心に留めておくべきである。
なお運用成績の年利換算の計算式は次の通り;
 平均年利=10^(1/年数)×log10(期末評価額/投資額)– 1



短期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=79:15:0:6:0)
結論:4年運用で元本割れ回避
  投資時期分散(ドルコスト法)は効果無く、無駄である

 1987年12月末以降の各月末において短期ポートフォリオの投資を行った場合それぞれについて、投資後1年、2年、3年、4年経過した時の運用成績がどのようであったかを図20-7-1に示した。横軸は投資の時期、縦軸はその運用成績の平均年利表示である。
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   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 この図から2つのことに気付く。第1に、1995年初から1998年末の4年間に短期ポートフォリオの運用成績の急激な悪化が起こっている。1995年中頃までの平均運用成績は6―8%であったのに、1998年初以降の平均運用成績は年利2%前後に悪化している。これは1990年日本バブル崩壊の後の金融危機の影響であり、その後経済状況が回復しないうちにリーマンショックによる状況悪化が進んだことが最近の短期ポートフォリオのパーフォーマンスの悪い原因であろう。
 気付く点の第2は、満4年以上運用したとき、元本割れは起きてないことである。最も不運な4年運用は2005年1月末から2009年1月末までの4年間で、この間の短期ポートフォリオの運用成績は平均年利0.11%と小さいが、でも元本割れはしてない。満3年以下の短期間運用の場合、元本割れが起きている。従って満4年の運用期間が元本割れ回避に必要と判断する。1998年以降の4年運用の平均年利は1.79%(年利に対する標準偏差は0.88%)で、定期預金よりも成績が良い。なお、投資時期を分散(ドルコスト法)しても、運用成績の改善は全く見られなかった。短期ポートフォリオの場合、ドルコスト法の適用は無駄に手間を掛け、更に待ち時間による運用期間の短縮が生じることの両面から損であり無駄である。


中期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=48:34:0:18:0)
結論:6年運用で元本割れ回避 
   1年間に亘る投資時期分散(12回の月末の等金額投資)を推奨

 1987年12月末以降の各月末において中期ポートフォリオの投資を行った場合それぞれについて、投資後4年、5年、6年、7年、8年経過した時の運用成績がどのようであったかを図20-7-2に示した。元本割れ無しになる為に必要な最短年数は6年であった。最も不運な6年運用は2003年1月末の投資で、平均年利換算で0.09%、100万円投資が6年後に100万5千円になっている(これは実質的には元本回収に過ぎない)。この最不運成績は1998年以降現在に至る88回の月末投資6年運用の内で1回のみあり、88回全ての投資の実績の平均は年利2.88%(年利に対する標準偏差1.68%)であり、定期預金や個人向け国債に較べてよい成績であった。5年間以下の短期間運用では元本割れが起こっている。よって中期ポートポリオでの運用において元本割れを回避するには6年間以上が必要と判断する。
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   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 この図20-7-2によると、1998年7月を中心とする1年間前後の期間内の投資は運用期間の長さに依らず いずれの運用期間の運用でも成績が著しく悪い。これはこの期間の投資がこのポートフォリオの高値掴みであることを示している。このような高値掴みを避けるためには、グラフから判断して半年間くらいの期間に亘る投資時期分散が良い。中期ポートフォリオでの6年運用における投資時期分散(いわゆるドルコスト法)の効果を調べた結果を図20-7-3に示した。
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   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 半年間に亘る時期分散投資(6回の等金額月末投資;ドルコスト法)の完了後5年10ヶ月間運用(運用期間は5年10ヶ月から6年3ヶ月に亘って分散している)した場合の期末評価金額の投資開始時期依存を赤線で示し、一括投資6年後の評価額の運用開始時期依存を黒線で示した。1998年2月以降の各月末に開始した85回の中期ポートフォリオの6年運用の評価額平均値は、一括投資なら117.4円、半年間に亘る時期分散投資の場合は117.5円となり、ドルコスト法により少し改善されている。一方、最不運時の100円投資のパーフォーマンスは一括投資なら100.5円、半年間のドルコスト法を適用すると100.4円で僅かだが悪くなった。しかし、1998年7月頃の高値掴みによる悪成績を、投資時期分散により少し改善できている。全般的な印象として言えば、半年間位の投資時期分散はした方が良いようである。

 以上纏めると、短期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=79:15:0:6:0)の運用に適しているのは、今から5年目と6年目に使う予定のお金である。短期ポートフォリオの運用成績の年利表示の実績の1998年以降の平均値(1998年以降2011年までの平均値)は1.79%であった。短期ポートフォリオへの投資にはドルコスト法を使うことは無駄である。
 一方、今後満4年以内(今から1年目から4年目まで)に使うお金は預金か個人向け国債(運用においては、個人向け国債は定期預金であって債券ではない)で運用すべきである。株式投資や債券投資にまわしてはならない。
 次に、今から7年目以降に使う予定のお金の投資先として適しているのは中期ポートフォリオ(日債:外債:日株:外株:EM株=48:34:0:18:0)である。その投資に際しては、半年間に亘る投資時期分散(ドルコスト法)をすると運用成績を僅かだが改善できる。中期ポートフォリオの運用成績平均値(1998年以降2011年までの平均値)は年利表示で2.88%であった。

 次回のブログでは長期ならびに超長期ポートフォリオの運用実績を調べた結果を書くことを予定している。
(2011/6/6/UP) (20111/6/8/手直し)

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