(8-3-改2) リーマンショックと大恐慌などの株価暴落・回復の比較

 2011年7月改訂。 2007年10月に始ったリーマンショック世界金融危機の株価暴落が今後どのような経過をたどるか推測する参考にしたいので、1929年の大恐慌、1989年の日本資産バブル崩壊、1990年のスウェーデン資産バブル崩壊における株価の経時変化と対比してグラフにで比較した。今回のリーマンショックからの世界経済の立ち直りは、スウェーデンバブルからの同国経済再生に近い回復振りのように見える。

 1929年の大恐慌前後におけるダウ平均(Price指数、US$表示、これしか入手できない)、1989年の日本資産バブル前後におけるMSCI-JAPANの日本円表示NET指数(税引配当再投資した日経平均のようなもの)、日本バブル崩壊と同時期に起きたスウェーデンの資産バブル崩壊におけるMSCI-SwedenのUS$表示 Net指数、ならびに2007年のリーマンショック世界金融危機における米ドル表示のMSCI World Index のNet 指数(先進国23ヶ国の平均株価の米ドル表示、税引き配当再投資の指数)の常用対数を、それぞれ株価指数のピーク時点で重ねてグラフにすると、図8-3-1のようになる。黒線が大恐慌前後におけるダウ平均の値動き、赤線が日本資産バブル崩壊前後における配当再投資日本株価平均の値動き、青線がスウェーデンバブル崩壊前後のスウェーデン平均株価、そして緑線が今回のリーマンショック世界金融危機におけるMSCI World Index/US$(先進国平均株価Net指数のドル表示)の値動きである。2009年以降2011年7月の現在も進行中の金融危機のデータ(緑線)は2011年6月末まで含めて図8-3-1に示した。
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   (図をクリックすると拡大図が出ます)

 バブル株価ピーク打ちの5年前までの四者の値動きはよく似ている。しかしよく見ると、今回の金融危機の直前5年間の株価上昇率は、大恐慌、日本バブル崩壊、スウェーデンバブル崩壊(北欧バブル崩壊とも呼ばれているらしい)のときに較べて、やや傾きが小さい、即ち株価暴騰速度が緩やかであった。これは今回の危機が株を主舞台としてなかったためと考えられる。今回の株価暴落は債券での失敗のトバッチリの面が大きいと推測される。と言うことは、株価の持ち直しは比較的速いと期待できるかもしれない、金融崩壊誘導の主役を演じるほど大きく下落したのではなかったのだから。

 ピーク打ち後の株価変化の様子は四者で大いに異なる。最も悲惨なのは大恐慌(黒線)でダウ平均株価は下落してピークの11%まで減額し、日本バブル崩壊(赤線)はピーク3年後の底打ちまでは大恐慌より遥かに良くてピーク値の47%になっただけだったが、ピーク打ちの11年後(グラフ右端)になると、大恐慌と同様な悲惨さである。日本の“失われた13年とも20年とも、30年に入り始めている”とも言われている。スウェーデン株価は下落してピーク2年半後にピーク値の59%までの下落で底を打って、以後は極めて順調な株価上昇(景気回復、好景気)である。世界では日本の失敗、スウェーデンの成功と言う具合に対比して評価されているらしい。

 いずれにしても、大恐慌、日本バブル崩壊、スウェーデンバブル崩壊において、株価底打ちは株価ピークの2年半から3年後であったが、最近の危機の方が早めに底打ちが来ているようである。これは経済学者の研究とその成果を政治経済に生かす政治家の力によると思う。今回のリーマンショック金融危機の底打ちは、株価ピーク2007年10月の1年半後の2010年1月であった。MSCI-WI Net/US$指数の最低値はピークの1年4ヶ月後(2009年2月)でピーク値の46%までの減額であった。大恐慌底打ちが崩壊開始3年後であったが、リーマンショックでもピーク3年経過後の頃に回復が少しもたついたが、今(2011年夏)はそれも乗り越えたよう見える。長期間寝かせておけるお金があれば、先進国株式投資のインデックス型(MSCI KOKUSAI指数追従)投資信託中心のポートフォリオへの投資がいい成績をもたらすと期待するが、でも世界ではどんな突発事件が起きるか判らない。

 2009/4/28のNew York Timesに、1929年の大恐慌後の米国平均株価回復は底打ちの4年半後だったという研究結果が紹介されていたらしい(Yahoo-Finance-USAへの転載)。その要旨は以下の通り: 
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average)は1929年9月3日の$381.17をピークに以後暴落して大恐慌に入った。ダウ平均がこのピーク株価に戻ったのは25年後の1954/11/23(第二次世界大戦終了の9年後)であった。しかしこれは、名目上の株価についてであって、実質的には1936年年末頃(株価暴落開始の7年後、株価底打ちの4年半後)には、米国の平均株価は大恐慌前のピーク価格に回復していたという。そのからくりは、(1)1936年当時は、1929年に較べて18%のデフレだったので、株価にデフレ補正を加えた購買力基準の株価で測る;(2)1932年7月の株価底打ち(ピークの2年7ヵ月後、ダウ平均はピークの11%にまで下落)の頃、米国株の平均的な配当は株価の14%くらいあった。これを再投資していれば、株価暴落による損失からの回復も早い(Yale Univ., Prof. Shillerの主張による;Case-Shiller不動産指数のShiller教授らしい);(3)米国の全上場株式の平均株価の方がダウ平均(ダウ平均は30社平均株価)よりも早く回復していた(イボットソン社の統計)。即ち米国の全上場株式の時価平均でみると、1932年7月の株価底打ちのとき株価はピークの20%(ダウ平均の11%ではなく)にまで下落していた;これら3つの要素を勘案すると、大恐慌下の米国の平均株価(配当再投資、インフレ・デフレ補正した購買力基準の株価、全ての米国株式への広範囲分散投資)は、株価底打ち後4年半経過した時点で、大恐慌前のピーク株価まで回復していたことになる。今、株式投資で大損を被っている個人投資家も投げ出さずに頑張っていれば、数年の後には損失は回復すると希望を持ってよい。

 ともかく、今回のリーマンショックからの世界経済回復はスウェーデンバブル崩壊からの回復のように順調に進められている様に見える。ただ、悲しいことに日本経済の回復は別であり、世界から取り残されている。日経平均(日経225)は1989年年末に38957円(大略で3万9千円!)のピークを打った。翌年正月明けと共にバブルは弾けて株価急落開始、その後20年以上経った今(2011年7月)も株価は回復せず、日経平均が1万円を上回るかどうかが新聞代一面の見出しになるという悲しき事態で、平均株価はピーク時の1/4である。経済学“未発達”の大恐慌時のダウ平均でも20年経過すると平均株価はピークの2/3まで回復している;ただしこの時の20年間には第二次世界大戦があった。ついには、日本政府は外国首脳に無能呼ばわりされる始末であるが、そのような政治家を選んだのは我々国民である。「田舎の有権者の票が重過ぎて日本の政治経済をゆがめている」との見方に同意する。
(2011/7/10/UP)

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