(20-12) 2011/2/1構築のポートフォリオの実績点検

今回は2011年1月末までのデータの統計(対数正規分布)に基づいて構成した短期、中期、長期、超長期ポートフォリオの11月末日まで10ヶ月間の実績を調べた。

 2011/1/31までのデータに基づいて構築した短期・中期・長期・超長期の各ポートフォリオに対して2011/2/1に100万円ずつ一括投資したときの、その後の実績(月末時価、“ポートフォリオ時価”と呼ぶことにする)を点検すると図20-12-1のようになった。
画像
   (グラフをクリックすると拡大図が出ます)
2011年4月までは各ポートフォリオ時価は順調に上昇したが、2011年7月以降は、短期ポートフォリオ以外のポートフォリオの時価は全て元本割れである。短期ポートフォリオの時価も元本を何とか保持しているだけである。超長期ポートフォリオに至っては運用開始8ヶ月間で元本の85%近くまで減価した。これらの悲惨な実績は、ポートフォリオ構築の統計処理の想定範囲内なのか、あるいは統計学の利用方法の間違いがもたらした失敗なのかを調べることにした。もし、これらの実績が想定範囲外の成績不良であるなら、資産運用方針を変更が必要である。一方もし想定範囲内であれば、じっと我慢しながら既定の運用方針を堅持すれば、いずれ良い結果がもたらされる。この図20-12-1だけから言えることは、ポートフォリオ時価の変動は上昇(2011年4月)も下落(2011年9月)も各ポートフォリオのリスクの順に並んでいて、変動幅の大小の順番は統計の原則と定性的には一致している。

 次に定量的な点検である。まず最悪実績を示した超長期ポートフォリオを検討する。このポートフォリオの実績と共に運用成績期待値の諸推計のグラフを図20-12-2に示した。
画像
   (グラフをクリックすると拡大図が出ます)
まず、確かさ99.7%(± 3 σの範囲内)で期待される運用成績範囲は次式:
 y = 100 × 10^(n × μ ± 3 × σ × √n)  (図20-12-2の赤と青の細線)
次に、確かさ95%(± 2 σの範囲内)で期待される運用成績範囲は次式:
 y = 100 × 10^(n × μ ± 2 × σ × √n)  (図20-12-2の赤と青の太線)
で示される。ここに、μは年倍率の常用対数の平均値であり、σは年倍率の常用対数の標準偏差である(対数正規分布解析)。黒丸の運用実績プロットの全てはこの青赤太線で表した95%確率期待値範囲内であり、投資後8ヶ月で時価が85%まで減額した実績も、これも統計パラメータから予期されたランダムな時価変動の範囲内である。

 また、70%確率(±1.15 σの範囲内)で期待される運用成績範囲の下限は次の式で与えられる:
y = 100 × 10^(n × μ – 1.15 * σ × √n) (図20-12-2の柿色細線)
2011年8月末から11月末までの実績はこの70%確率期待値範囲下限(柿色細線)の近くに分布している。この柿色細線が時価100万円(元本)を超える2019年10月頃以降(更に数ヶ月待つ必要があるかもしれないが)には元本割れすることはないと考えてよさそうでである。

 以上、超長期ポートフォリオのこれまで10ヶ月間の悪い実績は統計処理の想定範囲内であって、これまでの運用方針を堅持していれば、いずれ世界の経済が好転・回復し、そのときには良好な結果がもたらされると期待できる。
更に、このポートフォリオの最近数ヶ月の悪い実績データがかなり稀な現象(確率15%、6年間に一度)であることを示す。つまり、現在が超長期ポートフォリオへの投資に適したタイミングであって、投資を控えるよりは、むしろ長期資金に余裕があれば、積極的に投資を進めた方がよいことが示唆されている。つまり超長期ポートフォリオの時価が平均よりはかなり低価格であって、むしろ買い時である。ただし、今が底値であるとは限らず、今後更に時価低下が進むのか或いは間もなく時価回復が始まるのかは判らない。そこで超長期ポートフォリオへの投資は一気に進めるのではなく、2年間ないし3年間の期間にわたって少しずつ投資を進める方が良いと考える(いわゆるドルコスト法)。
 
 長期、中期、ならびに短期ポートフォリオについても、超長期ポートフォリオの場合と同様に、2011年2月1日に100万円ずつ投資したときの時価の推移ならびに70、95、99.7%確率で期待される時価範囲を求め、これらを図20-12-3、図20-12-4、ならびに図20-12-5に示した。
 
画像

画像

画像

 図20-12-5に示された短期ポートフォリオの時価は2月末から11月末までの10回の月末の内で2011年11月末の時価だけが元本割れの99,968円で、元本から0.32%の割れ込みである。しかし、この記事を書いている2011年12月21日の時価は1007,082円まで回復している。短期ポートフォリオのパーフォーマンスは、元本割れは時々瞬間的には起こるが、少しの待ち時間を持たせるならば、元本確保に関してはなかなか良好である。時価変動幅も狭くて期待値平均近傍からのズレが小さい。2年くらい寝かせておける資金があれば、投資時期の分散を図ることなく、せいぜい1-2ヶ月位の時期分散で短期ポートフォリオに投資すれば定期預金よりは良いパーフォーマンスを期待できそうである。ただし、GDPの2倍の国債残高を残しながらなお税収の倍の国家予算を組むような状況への不安が広まる時は、日本国債が暴落して短期ポートフォリオの成績は悲惨な結末になる。

 最後に、短期、中期、長期、超長期ポートフォリオの時価推移を対数正規分布に基づき、投資以後の通期の時価倍率の常用対数値を標準確率変数化して示すと図20-12-6のようになる。この図の縦軸は
 z =(log(時価/元本)-n×μ)/(σ×√n)
で定義されるzであり、ここにnは投資後の経過年数あり、μとσは時価増加倍率の常用対数の年平均値と年標準偏差である。
画像
   (グラフをクリックすると拡大図が出ます)
この図で見ると、短期、中期、長期、超長期ポートフォリオいずれの時価も平均期待値に較べてかなり減価していることがよく判る。しかし減価の程度はせいぜい -1.5σ 程度であって、想定範囲内である。もし、長期に寝かせておける余裕資金があるならば、いずれのポートフォリオに対しても、むしろ今が投資を進めるのによい時期と考えられる。
(2011/12/24/UP)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント